地価上昇で住宅価格はさらにアップ
先日、銀座4丁目の山野楽器本店の地価が1平方メートル当たり4010万円と発表され、話題となりました。バブル期の3850万円(1991年)やリーマンショック前の3900万円(2008年)も超えて過去最高を記録したと報じられています。
前回の「マイナス金利導入で住宅は今が買い時?借り換え時?」でも都市部の価格上昇について触れましたが、住宅購入の相談で「想定した水準を大幅に上回っていた」という話は必ずといっていいほど聞きます。
それも数百万といったズレではなく、近所で条件に合う物件を探したら1000万円~2000万円も高くて腰を抜かしたといったことも、もはや珍しくありません。金利が大幅に下がってお買い得に見える一方で、それ以上に不動産価格は上がっています。
価格上昇の原因は低金利や金融緩和などが挙げられますが、そういった経済的な話はいったん横に置くとして、これから買いたい人はじゃあどうすればいいの?ということになります。
過去の連載でもたびたび書いてきましたが、本来は無理な予算で買うのはやめましょうとアドバイスしています。家を買うときには感覚がマヒしそうになりますが、1000万円とか2000万円といった金額は人生を左右する金額です。
ただ、さらに突っ込んだ話として、予算をオーバーした物件をそれでも欲しい場合はどう考えればいいのか、具体的に説明してみたいと思います。
予算1000万円オーバーの物件を買うとどうなる?
以下、具体的な数字で計算をしてみたいと思います。
35歳の夫婦が頭金1000万円で5000万円の物件を買おうと思っていたところ、6000万円に予算を増やさざるを得なくなったケースです。当初の借り入れ想定額である4000万円と5000万円の比較です(フラット35の3月の金利で計算)。
(1)は当初の想定です。毎月11.7万円程度の返済でどうにかなりそうな数字だと考えていました。
(2)は予算が増加した際のシミュレーションです。毎月3万円も負担が増えています。返済総額では1235万円の増加です。
まあ3万円ならどうにかなるかなあ……と考えてしまいそうですが、60歳の定年退職までに完済すると考えれば(3)の毎月19.4万円が「本来の返済額」ということになります。(2)のケースで一切繰り上げ返済をしなければ、夫婦が60歳の時点(残り10年)で1657万円もローンが残っています。
定年退職の時点で残債をゼロにする必要はありませんが、老後に1000万円以上もローンが残っている状況に不安を感じる人は少なくないでしょう。なお、短期間での返済なので返済総額は減っていますが、毎月の負担が大きくなります。1000万円でこの状況ですから、予算が2000万円オーバーの場合、6000万円のローンを組むと35年ローンでも17.6万円となります(※)。
※実際の支払額はローン以外に管理費・修繕積立金・団信保険料・固定資産税なども加わるため、1カ月当たり3~4万円程度上乗せされます。
ここまで負担が増えるのであれば、本来は1000万円でも2000万円でも予算はほどほどに抑えておきましょう、と言いたいところですが、それでも予算オーバーの家をどうしても買いたい場合はどうすればいいのでしょうか。もちろん家計が破綻してもいいという人はいませんから、破綻しない範囲で予算オーバーの物件を買えるかどうか確認する方法を考えたいと思います。