評価されることがなくなって、自分の存在価値がふと分からなくなった

 主夫生活は楽しかったのですが、後半、自分自身の存在価値が、ふと分からなくなる瞬間がありました。一つには、ずっと家で家事や育児に没頭していて、社会とのつながりを感じることが減ってしまったこともあると思います。

 加えて、会社での仕事と違い、“評価されること”がなくなりました。子どもたちは「今日のごはんおいしい」と言ってはくれるけれど、それは「生きていてよかった」とか「この仕事をしていてよかった」という達成感とはまたちょっと違います。最後のほうは、コンビニでレジを打ってもらっている間に、「この方はちゃんと仕事しているのに僕は……」なんて変に意識するようになっていって。主婦の方が悩むというのはこれか! と、すごくよく分かりました。

 主夫生活を1年続けた後、僕は再就職して、妻と共働きになりました。

 仕事復帰を決めた理由は、一つは収入です。収入的なことを考えると、やはりキャリアにブランクがある妻よりも、当時15年近く会社勤めをしていた僕のほうが条件のいい会社に就けた。いろんな夫婦の形があっていいと思いますが、収入のことを考えると、もっと男女の働き方を根本から考え直さないと難しい部分があるのだなと感じました。妻は主夫生活も応援してくれていましたが、これから子どもたちの学費もかかってくる時期、やはり、僕も働いたほうがいいのかもしれないね、ということに。