あのころは、ちょうど四男が幼稚園の年長に上がり、妻は仕事に復帰すべく就職活動を始めていました。妻は長男を出産した後に社会復帰する予定でしたが、「そろそろ仕事を再開しようかな」……と思ったら次男が生まれ、「今度こそ仕事を」……と思ったら三男が生まれ……と、3年ごとに子どもが生まれて、結局、キャリア面では10年のブランクができていました。なので、再就職もなかなか難しいところがあったようです。

 当時、僕は長年続けた会社員生活に一旦区切りをつけるため、退職したばかり。幸いなことに、いくばくかの貯金もあった。だったら、僕がしばらく専業主夫になって家事も全部するという前提で、妻は働く時間などの条件面を広げて仕事を探し、一度リセットしたキャリアの再スタートをしてみてもいいのでは……と。こうして僕の主夫生活が始まりました。

主夫になったのは、かわいい子どもたちとずっと一緒にいたかったから

 主夫は一度やってみたかったんですね。というのも、ずっと妻がうらやましかったんですよ。こんなにかわいい子どもたちと毎日ずっと一緒にいられるなんて、楽しすぎだろう、と。僕は会社で死ぬほど働いているのに、頑張って仕事している僕が子どもと接する時間が少ないなんて不公平だ! とも思っていて(笑)。だからといって、子育てを時々、ちょっとだけ手伝うだけというのも無念すぎる。僕だって父親として、子どもをちゃんと育てたい。

 というわけでスタートした念願の主夫生活。早々に実感したのは、「(主婦の)3食昼寝付きって、絶対に嘘!」ということでした。まず、1日中、ゆっくり座る暇がない。洗濯して、掃除して、買い物に行って、食事を作り、その間に子どもたちの学校のことなどをチェックして……と、次から次にやることがあって、ずっとコマネズミのように動いていました。それまでのデスクワークから、いきなり座る暇もない生活になったことで、ぎっくり腰が治ったくらいです(笑)。

 家事と育児、そして仕事の両立の大変さも思い知らされました。

洗濯を始めて「男の子なんだから服は汚しても平気でしょ」が「汚すなよー!」に

 それまでは、子どもたちが服を汚して帰っても、特になんとも思いませんでした。むしろ、男の子なんだから服が汚れるくらい元気なほうがいいくらいに考えていましたが、実際に自分で洗濯するようになると、汚れものが増えるともう大変! というわけで、子どもたちには「汚すなよー!」と言ってみたり。

 そして、料理だけは難しかった! 妻みたいに毎日いろいろと献立を考えられないし、僕自身、好き嫌いが多いので、作る料理がどうしても偏ってしまう。そのくせ、自分の頑張りに対する評価がはっきり分かる営業職に携わっていた身としては、自分の料理に対する評価は欲しいという面倒なところもあって(苦笑)。最後のほうは子どもたちが気を使って、「今日もおいしいよ」なんて言ってくれる始末。ちょっと鬱陶しいお父さんだったと思います。改めて、毎日バリエーション豊かな食事を作ってくれる妻に感謝できるようになりましたし、日々の家事・育児の大変さは、やってみないと分からないものだなと思いました。