本連載のアドバイザーでお馴染みの中学受験プロ家庭教師の西村則康先生。毎回、テーマに沿った的確で分かりやすいアドバイスをいただき、取材を終えると、「なるほど!」という納得感を得ることができます。そんな西村先生の授業を受けると、子ども達は何を学び、どう変わっていくのでしょうか? 今回、特別に授業を取材させていただきました。中学受験のプロ家庭教師が教える授業とは、どんな授業なのか、そして、子ども達はどう変化を遂げているのか?(本文中は仮名)

算数の学習は、「覚えること」と「理解すること」を区別することがポイント

鈴ちゃんの手の動きや表情を見られるように、西村先生は隣り合って座ります。お母さんの佳奈美さんは、その向かいに座ります
鈴ちゃんの手の動きや表情を見られるように、西村先生は隣り合って座ります。お母さんの佳奈美さんは、その向かいに座ります

 今回、授業を見学させていただいたのは、この4月から5年生になった小林鈴(こばやし・すず)ちゃんのご家庭。鈴ちゃんは小2の3月から大手進学塾に通い、中学受験を目指しています。現在、塾の中では一番上のクラスに在籍していますが、それは得意科目の国語のおかげだそう。実は鈴ちゃん、算数に対しては少し苦手意識を持っています。それを心配したフルタイムで働くママ・佳奈美(かなみ)さんが、今回、初めて西村先生に授業を依頼しました。

 一般に家庭教師というと、子ども部屋で授業をしますが、西村先生の場合は、家庭のリビングやダイニングテーブルで行うのがポリシー。先生はお子さんの隣に座り、その向かいに親御さんに座ってもらいます。リビングやダイニングで行うのは、その家庭の様子が最も伝わる場所だから。また、親御さんに同席してもらうのは、プロの教え方を学び、親御さん自身に実践してもらいたいからです。

 早速、授業開始です。今回は苦手科目である、算数を教えてもらいます。

 開口一番、西村先生は問題を出します。

「えーっと」と宙を見上げる鈴ちゃんを笑顔で見守る西村先生
「えーっと」と宙を見上げる鈴ちゃんを笑顔で見守る西村先生

西村先生 じゃあ、次の分数を小数に直してみてね。1/8は小数で表すと何?
     0.125。
西村先生 3/8は?
     えーっと、0.375。
西村先生 はい、では7/8は?
     えーっと……
西村先生 おっ、そこでつまずくんだね(笑)。

 あれ? 意外にも鈴ちゃん、暗算でてこずっています。西村先生は問題を出しつつ、鈴ちゃんの表情や目の動きをじっと見ながら、鈴ちゃんが何をどう考えて、どんなところで間違ってしまうのか分析します。

 次に掛け算の暗記です。西村先生が口早に「13×13」「14×14」「15×15」……と同じ数字同士の掛け算を暗算で答えるように問いかけていきます。ここでも、鈴ちゃんは「えーっと」とすぐに答えを出せません。

 西村先生は早速、弱点に気づきました。

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『中学受験 基本のキ!』 発売!
著者/西村則康・小川大介
価格/1620円(税込み)

【第1章】 わが子に中学受験をさせるか否か?
【第2章】 中学受験のパートナー 塾との付き合い方
【第3章】 受験生 普段の勉強と、長期休みの戦略的な活用方法
【第4章】 男女御三家と早慶付属校の最新問題傾向
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