西村先生はこうアドバイスします。

 「鈴ちゃん、考えるとは、頭を抱えることではなく、書くことなんだよね。図形の問題はとにかく書いて、考えてみること。そのときには、次のような手順で考えてみるといいよ」

① 仮定…今、何が分かっているのか?
② 結論…何を聞かれているのか?
③ 何を書けば解けそうな気がする?

分からなくなったときにこそ、鉛筆を持って書き出すことの大切さを学んだ鈴ちゃん。正解を導く「分かった!」という感覚が、何となくつかめたようです
分からなくなったときにこそ、鉛筆を持って書き出すことの大切さを学んだ鈴ちゃん。正解を導く「分かった!」という感覚が、何となくつかめたようです

 「『今、分かっているのはこことここの角度。ここに補助線を引いたら何か分かるかな? 外角の定義はこうだから……ということは、ここは何度ってことだね』……。こうやって自問自答しながら、手を動かしてみるのです。そうすれば、必ず答えが見えてきます」

 「でも、考える前に必要な知識がある」と西村先生。

 「例えば直角三角形の定義や外角の定義、各図形の面積の公式などです。これを覚えずして考えてみたところで答えを出すことはできません」

 「つまり、算数には覚えなければならない『知識』と、考えるための『思考力』が不可欠なのです。知識はただ丸暗記をしても定着しません。『なぜ、そうなのか?』をしっかり学び、納得して覚えるようにしましょう。そうすれば、忘れることはありません」

しっかり勉強するってどういうこと? 目的を意識した学習を心がけて!

お母さんの佳奈美さんに鈴ちゃんの勉強について解説する西村先生
お母さんの佳奈美さんに鈴ちゃんの勉強について解説する西村先生

 気がつくと、1時間の間にたくさんの図形問題を解いた鈴ちゃん。ついさっきまで図形問題に対して苦手意識を持っていましたが、今は別人のようです。

 西村先生はお母さんの佳奈美さんにこう話します。

 「さすが上位クラスにいるだけあり、飲み込みが早いですね。今まではただ与えられた問題を解いていただけで、なぜそうなるのかまで考えていなかったようです。だから、自分が見たことのない問題が出てくると、途端にお手上げになってしまう……。でも、覚えるべきものをきちんと理解したうえで、考えてみれば、鈴ちゃんにとって算数はそれほど手強いものではありません」

 「ただし、これから5年生になり、毎週たくさんのことを学んで行きます。それをうまく回して行くには、授業中にしっかり理解をすることです」

 「子どもが塾の授業を理解したかどうかの判断はどうすればよいのでしょうか?」と佳奈美さん。

 「『理解したか』『理解したつもりか』の判断は、本人に説明をさせてみることです。そのとき、お父さんとお母さんはすぐに理解をしないこと。わざと、分からないふりをして質問をしてみましょう。きちんと理解した状態とは、半年後に似たような問題が出たときも正確に答えられ、なぜそうなのかが説明できること。半年後に忘れているようでは、理解したことにはならないのです」

 また、西村先生は今後の家庭学習のやり方についてこうアドバイスをします。