全く問題がない“完璧”な家庭はありません。子どもの成長とともに訪れる課題に全員が「チーム」として取り組み、自分達らしい家族を形成すること――それが「ファミリー・ビルディング」の考え方です。幼児教育を通して6000人以上の子どもと接し、数多くの家庭をコンサルティングしてきた山本直美さんが、悩めるデュアラー世代へアドバイスします。
 第3回のテーマは「節目の時期」の乗り越え方です。子どもの保育園デビューや小学校入学でがらりと生活が変わる4月。家族がスムーズに適応する方法を教えてもらいました。

 こんにちは! チャイルド・ファミリーコンサルタントの山本直美です。新年度が始まり、新しい生活がスタートします。特に子どもの保育園、小学校の入園・入学や、昇進・異動・転職といった親達のキャリアの変化がある「節目」は、ファミリー全員にとって試練にもなりうるときです。がらりと変わる生活につまずかないために、家族として心がけておきたいことをお伝えします。

 私達が慌ててしまいがちなのは、「想定していないことが起こったとき」です。新しい生活を迎えるに当たってしておきたいことは、手が回らない場合の最悪の想定。「最悪」というのは、皆さんにとってどんな状況でしょうか?

 子どもの急な発熱で呼び出しがあったらどうする? 病児保育はどこにお願いするの? 子どもだけでなく、パパもママも家族全員がインフルエンザになったら? 2人とも急な残業でお迎えに行けないときは?……などなど。

 パパ・ママのどちらか片方だけが急場しのぎで対応する体制では、うまくいくはずはありません。ピンチに陥った場合、ケースバイケースで何とかなることもありますが、毎回そんな綱渡りをするよりも事前に話し合っておくことが大事です。

 子ども達と関わるときに大切なことは、「先を読んでおくこと」です。保育現場でも、「こういうことが起こったときはどう対応する? イメージトレーニングをしよう」と保育スタッフにいつも声をかけています。「初めて母子分離をするときには、親も子もこういうふうになる可能性があるよね」と想定しておく。他にも、「絵の具を使うときは興奮して大騒ぎになるだろうから、気を付けなければいけないね」など、スタッフ同士で確認し合っておけば、事故やケガなどのトラブルも減ります。

 大人の先読みが、すべての危機回避につながることを覚えておきましょう。