女性が「生きづらい」と感じる問題の根っこには「固定的性別役割分担」がある

 大澤さんが言う通り、女性は属性で類型化されることが多いです。一方、VOICEが明らかにしたのは、20代でも40代でも、既婚でも未婚でも、子どもがいてもいなくても、女性が「生きづらい」と感じる問題の根っこには、共通点があるということ。それは「自分のアイデンティティーと周囲からの期待のギャップ」(大澤さん)です。

 「固定的性別役割分担」という言葉をご存じの方は多いと思います。それは「男性は外で働き、女性は家庭を守る」という性別に基づく分担です。今の現役ビジネスパーソンには、こういうことを公言する人は少ないかもしれません。ただ、こういう役割分担への期待は、社会の中に依然として残っています

 「教育・建前は男女平等でも、社会に出れば結婚することに価値がある、とされる。女性は自分がやりたいことより妊娠・出産など女性役割を優先することが求められる。一方で職場では長時間労働が当たり前で、育児や介護の責任を持たないことが前提になっている。このアクション・リサーチに参加した方の多くが『やっぱり、働き方を変えなくてはいけない』と考えています」(大澤さん)

 私自身は40代子持ちのフリーランスです。20代会社員の大澤さんとは、マーケティング上は全く違うカテゴリーになりますが、大澤さんの話を聞いていると、年齢や職種、家族形態を超えたつながりを感じました。

 「主婦の方は『今のように長時間労働が当たり前なら、主婦のままでいたい』と言います。なぜなら、母親として、子育てすべてを担わなくてはいけない中、長時間労働の職場で働くのは無理だから。根本は社会構造の問題なんだということが、よく分かりました」(大澤さん)

 この部分についても、心から共感しました。生きづらい状況を変えるため、大澤さんは「まず、当事者が声を上げるのが大事だと思います。次にいろんな属性の人が一緒に変えていくために動いて、この社会を変えていけたら」と話します。その発想は、前出の「保育園問題を働く親と20代が一緒に考えたい」という言葉につながってくるのです。

今、女性たちに必要なのは「属性を超えたつながり」

 DUAL読者向けには、こんなメッセージを頂きました。

 「今こそ、属性を超えたつながりが大事だと思います。30代が20代に、子どもがいる方がいない方に、自分のストーリーを共有しつつ相手の話を聞く。こうやって、一緒に動ける人が増えていったらいいなと考えています」(大澤さん)

 大澤さんとVOICEサイト作りに関わったコアメンバーは、昨年秋から「ちゃぶ台返し女子アクション」と名付けたプロジェクトを続けています。目的は「自分らしく生きられる社会を実現しよう」。3月には表参道でパレードを開催、2月にはシングルマザーの当事者団体とコラボイベントを開きました。

 日経DUAL読者の皆さんの中で、「大澤さんのグループと一緒に何か企画したい!」という方は、サイトを通じてコンタクトしてみたらいかがでしょうか? 「4月17日に、今後取り組みたい具体的な課題やアクションを話し合う作戦会議を予定しています。趣旨にご賛同いただける女性であれば、どなたでも大歓迎です!」と大澤さん。働く親の抱える問題を、より広い社会に発信するための“戦略的提携”ができると思います。

この記事の関連URL
● VOICE http://chabujo.com/voice/
● ちゃぶ台返し女子アクション http://chabujo.com/how-to-chabudai-gaeshi/
● 4月17日に大澤さんたちが開催する作戦会議の詳細情報 
   https://www.facebook.com/events/482676318601337/