女性の声を可視化したかった

 大澤さんは言います。「問題がある、生きづらい、というだけでは何が問題なのか、ぼやっとして捉えにくい。そのため、女性の声を可視化することによって、問題を明らかにしたかった。日ごろ、女性同士の対話が少ないと感じています。私たちは就労しているか、していないか、子どもの有無などといった属性で分断されることが多いですが、属性を超えて話してみると共有できることが結構多い。あまり語られてこなかった生きづらさやもやもやの原因を掘り下げたいと思ったのです」。

 サイト作りのプロジェクトに関わるコアメンバーは15人。ほとんどが会社勤めの女性たちです。忙しい中、わずか1カ月で65人にインタビューし、サイトをオープンしました。一体、どんなふうに動いたのでしょう。

サイト「VOICE」を立ち上げた女性たち。大澤祥子さんは後列・左から2番目
サイト「VOICE」を立ち上げた女性たち。大澤祥子さんは後列・左から2番目

 「参加型アクション・リサーチと呼ばれる手法を使いました。まず、コアメンバーが自分の友人に声を掛け、対話形式でインタビューを行いました。聞き手と話し手の役割を固定せず、お互いがお互いの話を聞くのが特徴です。仕事、働き方、セクシュアリティーの話題が多かったと思います。インタビューの目的は情報収集ではなく、対話を通じて参加者が変化するところにあります」(大澤さん)

 コアメンバー15人がそれぞれ2~3人にインタビューを行い、参加者の一部が新たな参加者に声を掛ける、という方式で進めていったそうです。65人の年齢構成は前述の通りで、20代会社員の子どもはいない女性がメーン。ワーキングマザーや主婦も入っているという感じです。