中間管理職からの抵抗に負けず、男性の育休取得を加速させたきっかけとは?
―― 変化にはためらいや抵抗がありませんでしたか? 特に中間管理職の方から休暇を取るのが難しいと声が上がったりするのではないかと思うのですが、いかがですか?
高橋 中間管理職は担当業務の責任がありますから、最初は抵抗があったと思います。
有給休暇は取りやすくなったとはいえ、育児休業で長期にわたり会社を休むことは男性社員にはなかなか受け入れてもらえず、軌道に乗るまで時間がかかりました。育休を取りたい気持ちはあるものの、休業(無給)することでの家計への負担、仕事や昇進・昇格への影響があるのでは、など不安要素がたくさんあったからです。
そこで、管理職の育休推進に力を入れました。
管理職で初めて取得した宮城営業課の阿部は、営業職で「顧客相手の仕事では休みづらい」と、当初は育休を断っていましたが、社長から直接育休を勧める電話を受け、半ば強制的に取得することに。
「今回は業務が忙しいので、辞退させてください」と申し入れるもなかなか社長が納得せず……。そのとき、社長が言ったのは「あなたが取らないと、部下も取りにくくなるよ」という言葉でした。結果、阿部は9日間の育休を取りました。
すると、阿部自身も育児休業に対する意識が変わり、「実際に育休を取ってみると、そのときにしか見られない子どもの姿が見られ、妻の手助けもできたので、育休を取れたことに非常に感謝しているし、ぜひ同僚・部下にも取ってほしい」と言うようになりました。その後、阿部の管轄している宮城営業課では9人が育休を取得しました。この取り組みは本当に良かったなと思います。
―― プラチナくるみんを取っているとリクルーティングにも良い影響がありますか? 会社のイメージアップにもつながったのではないでしょうか?
高橋 間違いなく好影響があります。一般に、くるみんマークやプラチナくるみんの認定を受けて、会社のイメージを上げて、優秀な人材を確保しようということを耳にします。
弊社でも多くの学生さんから関心を寄せていただいておりますし、実際優秀な新入社員が入社し活躍しています。また、営業担当者からもプラチナくるみんが付いている名刺で成約が取れました、という話も聞きます。
マーク自体の効果も高いと思いますが、私が一番大きいと感じているのは、社員の愛社心、会社に対する誇りです。
―― くるみんマークやプラチナくるみんの取得まで、大変なこともあったと思うのですが、めげなかったのはどうしてですか?
「うちでもできたのですから、どんな企業だって変われる」
高橋 取り組みを始めたころは、くるみんマークの認知度も低く、くるみんマークを取得するメリットやその価値を社内外であまり理解してもらえませんでした。否定的に捉えられることも多く、自社の取り組みが本当に正しいことなのか、不安に思ったこともありましたが取り組みを続け、こうして良い結果を証明できたことをうれしく思います。
恐らく以前の弊社のような会社はまだまだたくさんあると思います。有給や育休を取ったら売り上げが減ってしまうのではないか、忙しくて職場環境を変えている余裕がない、などという理由で取り組む前から諦めてしまっている企業の話も聞きます。
弊社でも変わることができたのですから、どんな企業でも変わっていけると信じています。休みを取って私生活を充実させながら働き続ける社員が、会社の発展に貢献しています。社員を信じて信念を貫くことが大切なのではないでしょうか。
―― 本当に素晴らしいです。勇気が湧きました。これからもみんなの幸せのために頑張ってください。
(ライター/水野宏信)