つらいけど、戦うしかないときもある!
「ばっかり食べ」が高じて、「好きなものしか食べない」という子もいますよね。たとえば、鶏のカラアゲが大好きで、それがないと「あれがなきゃイヤだー」と大騒ぎ。
うちもそんなことがありました。
けれど、「あ~、もううるさい!」と根負けして、つくり置きのカラアゲをチンして出してしまったら負け。その場は収まっても、子どもは「ねばれば好物が出てくる」と覚えてしまいますから、次もまた同じことになってしまいます。
そんなときわが家では、泣こうが騒ごうが「これしかない!」の一点張り。当然子どもは泣きわめきます。でも、きっぱりと「ない!」と踏ん張ります。
これは本当に大変な戦いでした。そこで「仕方がないわね」と根負けしたらダメなのです。戦いに勝ったから今があるのです。息子たちと当時のことを振り返ったとき、息子に「母が『ない』といったら絶対出てこない。兵糧攻めにされたらいうことを聞くしかないよね」といわれたものです。
好きなものから広げていこう
前述の、テレビの企画で出会ったお母さんと男の子。鶏のカラアゲはいくらでも食べるのに、野菜やほかのものはあまり食べない、とお母さんは悩んでいました。
カラアゲ以外でなんとか食べてくれるのは、納豆ごはんくらいという話です。そこで、お母さんに納豆巻きをつくることを提案しました。具を全部納豆にするのではなく、彼が嫌いなニンジンのきんぴらを少し混ぜたり、細いキュウリを一緒に巻いたり。納豆と一緒なら、なんとか食べてくれるのでは、という作戦です。
お母さんには、無理に食べさせようとしないで、とお願いしました。男の子は食事が始まってもしばらくは、お母さんが「おいしい、おいしい」と食べているのを見て何度か興味を示しましたが、なかなか食べようとはしません。
やっとひとつ手に取ったものの、ペロッとひとなめしただけでお母さんの口に入れて自分は食べない。
そんなことを繰り返して、彼が最初のひとつを食べるまでに30分かかりました。ひとつ食べると、もうひとつ、もうひとつと手が伸びて、ついに自分の食べる分をコンプリートしたのです。
実は以前、一緒に公園に行った際、この男の子はつねにお母さんから5m以内のところで遊ぶ様子から、慎重なタイプの子なのだなとは思っていました。だから、最初の一口に30分もかかったのでしょう。
ともあれ、「好きなものしか食べない子」の場合は、このように好きなものからバリエーションを広げていくのもひとつの方法です。
その後、幼稚園に入った男の子、今ではなんでもぺろりと平らげているそうです。
(イラスト:坂木浩子)