「食べ物」が「おもちゃ」に変わる瞬間を見極める

 子どもは、おなかがいっぱいになったら、お皿に料理が残っていようがおかまいなしに、遊びスイッチが入ってしまうものです。お皿を投げたり食べ物を投げたりするのはそんなとき。うちの子もよくやらかしてくれました。

 小さい子どもは、食べ物とおもちゃの区別がはっきりついているわけではありません。ですから、おなかがすいているうちは、集中して食べるのですが、ある程度おなかが満たされると突如、食べ物がおもちゃになるのです。

 双子ですから、一人が遊び始めるともう一人もつられて遊びモードにチェンジ。ついにプチトマトの投げ合いが始まります。そのたびに、キーッとなって怒っていました。

 今思えば、もう満腹になったのだから、そこで「ごちそうさま」にしておけばよかったのです。でも、「せっかくつくったのに」と思うと全部食べるまでやめられない……。親も、子どもの行動をよく観察して、学習しなければなりません。

 食べる様子を見て「そろそろ満腹のようだな」と思ったら、遊びスイッチが入る前に、さっとお皿を片づける。残されるのがイヤなら、残らないように食べきれる量だけ盛りつければいいのです

 「ダメ!」といわなくてすむように。予防線を張るのが賢いママです。

食べ物を粗末にしないことを伝える

 料理修業でフランスに住んでいたときのこと。フランスの子どもたちのテーブルマナーのよさに感心したものです。でもそれは、家庭内でかなり厳しくしつけられているから。

 フランスのしつけは日本に比べると厳しい印象があり、相手が小さい子であっても、よくないことをしたらきっちりと叱ります(特に厳しく叱るのは、たいていはお父さんの役目)。子どもは、親を怒らせたら大変なことになるとわかっているから、いつでもお行儀よくしているのです。

 日本でも「三つ子の魂百まで」といわれたように、人として、必ず身につけてほしいルールは、小さいうちからしつけたものです。

 「食べ物を粗末にしない」ことは、人としての基本です。体にしみ込むまでいい続けること。それは、親がするべき重要な仕事だと思います

 子どもの満腹メーターを見極めて、
 遊びスイッチが入る前に「ごちそうさま」。