経営者の両親に育てられ、どうすればうまくいくかを考えるように
両親や親戚など、周囲にはサラリーマンがいない家庭環境で育った山下さん。
「父も母もそれぞれ事業を経営していました。その影響もあり、自分もいつかビジネスを切り盛りしたいと自然に人生を描いていました」
子どものときに父から教えられたことは、今でもよく覚えているといいます。
「『お小遣いが100円あり、お店に行ったら100円のボールペンと100円のノートがある。どちらも買いたいと思ったときに、真実はどうする?』と父に聞かれたんです。その時、『よその家やったらボールペンにするか、ノートにするか決めろって言われるかも知れん。でも、お前はどっちにするか悩まんでええ、どうやったら2つとも買えるようになるかを考えなさい』と教わりました」
小さい頃から課題があれば解決しようと考えるクセがつき、それが山下さんの起業家マインドの根っこになりました。
社会勉強として日本の製造業に就職後、アメリカでMBAを取得
大学在学中に、FAXでやり取りをする家庭教師事業を立ち上げ。卒業を機に起業を考えましたが、山下さんが選んだのは大手メーカーに就職するという道でした。
「自分は会社員であり続けることはないと思うけれど、社会勉強として就職しようと思いました。周囲に会社員がいない環境で育ったこともあり、将来的には起業するにしても、会社勤めとはどういうものか一から勉強したいと考えました。どうせなら日本企業らしい会社に勤めようと思い、国内大手製造業に就職しました」
仕事でも成果を出し会社員としてうまくいっていましたが、ビジネスについて学びたいという想いが強くなり、2年ほどで退職。MBAを取得するため、アメリカのカンザスシティに3年半留学しました。
「経営学を学んだ後、翌年からMBAに進学しました。クラスの3分の1が合格できないといわれているくらい、周囲には敬遠されていたファイナンスの授業が楽しくて。そこから金融業界に興味を持ちました」
留学中に海外の留学生を対象にした就職イベント「ボストンキャリアフォーラム」に参加。複数社の投資銀行からオファーを受け、米系投資銀行JPモルガンで働くことを決めました。