毎朝トイレ掃除をすることで、気持ちを整える
自分の判断を信じるしかない、というときに自分を安心させる儀式が必要だと思って始めたのが毎朝のトイレ掃除です。
「実は一番の幼なじみの親友が30代半ばで乳がんになりました。私が知ったのは手術が無事に終わった後のこと。症状が進んでいたこともあり、自分の中でも消化できず、不安にさせたくなかったから言い出せなかったそうです。手術前、気持ちを整える為にトイレ掃除をいていたら、まだ小さい息子が『かあちゃんのぱいぱいが良くなりますように』と言いながらトイレ掃除を始めたそうです。それからトイレを汚くしているのが申し訳なくて……」
親友の話を思い出し涙ぐむ山下さん。友人が抱える問題が「自分ごと」になり起業した彼女のやさしさや感受性の豊かさを垣間見ました。
子どものためを思うサービスというポリシーを守っていきたい
今後、「ここるく」をどのように事業展開していくのでしょうか?
「『ここるく』は、お母さんのニーズを捉えたお母さんのためのサービスと言ってもらうことが多いです。それはうれしいことなのですが、そもそもは子どもにネガティブな影響が出るくらいなら、お母さんに好きな所に行ってもらいたい、お母さんが心のコリを解して子どもに愛情を豊かに注ぎ込めるコンディションを維持してもらいたい、というところから生まれました。そのため、子どものためを一番に考え、事業を展開していきたいです」
託児会場ごとの安全管理やリスク管理はもちろん、保育者である「だっこママ」と定期的に会議を行って、どうすれば子ども達が主体的に楽しめるか話し合ったり、先進的な取組みをしている保育園や専門家から話を聞いたりして、日々ブラッシュアップしているそう。
「ここるくの託児を通じて出会う子ども達に、託児という保育者やお友達がいる場だからこそ出来る経験を楽しんでもらったり、安心して時間を過ごしてもらえるよう、これからも向上させていきたいです」
(文/平野友紀子 写真/小松顕一郎)