仕事と生活の両立を図るために、様々な休業・休暇制度などを整えたり、残業を減らすための取り組みをしたりする企業は多い。ただ、大した対策もせずに「残業を減らせ」「長時間労働は悪」と言っていても、業務量が減らないかぎり、個々人の意識改革だけで労働時間を減らすことには限界がある。

 インターネット関連企業のショーケース・ティービーは、徹底した業務効率化を目指すことにより、従業員の残業時間を大幅に削減することに成功した企業。長時間労働になりがちのエンジニアでさえ、月の平均残業時間を17時間まで、減らすことができた。

 同社が残業時間を減らせた理由。それは大きく3つあるという。「思考塾」などを通じた意識改革、そして「ホワイトボード」「スマホ」という情報ツールの活用である。

<ショーケース・ティービー>

 東証マザーズ上場のインターネット関連企業。1996年設立。ウェブサイトを「見やすく・わかりやすく・入力しやすく」することをモットーに、サイトにアクセスしてきたユーザー行動を分析したり、入力フォームの最適化をしたりするなどのサービスを企業や官公庁などに提供している。従業員数は75人(2016年1月1日時点)、うち女性は25人。

「図解思考」植え付け効率アップ。残業がぐんと減る

「思考塾」を受講する社員達
「思考塾」を受講する社員達

 ある日の夕方、ショーケース・ティービーの会議室に、20人強の社員が集まった。「思考塾」に参加するためだ。

 思考塾は同社COOの永田豊志さんが実施しているワークショップスタイルの社内研修。永田さんは「知的生産研究家」としての顔も持ち、ビジネススクールや外部企業向けに講師を務めたり、これまで13冊以上の本を執筆してきたりした。思考塾は約1年間、同社内で実施。部門・上司部下・国籍を超えたグループ編成で、1回2時間で5~6回、「図解思考」をたたき込んだ。

 図解思考とは、人の話を聞いてメモを取ったり、資料をまとめたりするときに、図解を多く用いることで、理解しやすく、覚えやすくする方法のこと。仕事ではどのように生かせるのだろうか。

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