15分ほどずっと意見を交わしたのは「燃える人」という絵について。

 「目がいっぱいあって気持ち悪い」
 「この目が特に怖い」

 ママ達の意識はまず、絵画に散らばる「目」のモチーフに向かいます。

 「でも、よく見るとこの目、ちょっとかわいいかも」
 「力強さも感じる」
 「動物や人間が戯れている感じ。踊っている感じ」
 「ここに船らしきものがあるけれど、これは何だろう」
 「これから仕事に復帰するけれど、『頑張らなきゃ』というエネルギーにも通じるものがあるよね」
 「子どものかわいさと、小悪魔的な要素が混ざっているような感じ」

 様々な意見が出ます。

対話することで、多様な価値観や視野の広がりが実感できる

 その後、川上さんによる絵の解説がありました。

 解説によると、この『燃える人』は1954年に起きた第五福竜丸の被爆事件に着想を得ているとのこと。作品の中央には爆発のモチーフが。左下にある擬人化された船は第五福竜丸、右下から上にかけて大きくなっていく目のついた物体はキノコ雲だと考えられるのだそうです。

岡本太郎≪燃える人≫1955年
岡本太郎≪燃える人≫1955年

 感想を聞くと、ママ達からは納得の表情。

 「パッと見、船が第五福竜丸とは分からなかった。でもじーっと見ていると色々と違和感が出てくる。怖さや熱さ、パワーを感じる作品ですよね」などと、またまた会話は膨らみます。

 その後は河口龍夫(1940年~)の現代美術作品を鑑賞し、最後にガイドの川上さんに質問などをした後、解散となりました。