「実際に行ってみたい作品」はどれですか
今回、集まったママは7人(うち、赤ちゃん連れは5人)。産前・産後の女性達の身体的ケアなどのサポートを目的としたNPO法人、マドレボニータの卒業生有志が、「職場復帰を控えるママ達の、自己啓発の機会をつくりたい」と企画。要望を受けて美術館側が鑑賞する作品を決めたり、ベビーカーの貸し出しなどの準備を整えたりしたうえで、今回を含めこれまで5回実施。延べ35人が参加してきました。
ママ達に同行するのは、ボランティアのガイドスタッフである川上好美さん。見学の前に、川上さんより早速クイズが出されました。
「美術館には多くの子ども達が訪れます。子ども達にお願いすることは何でしょう」
「作品に触らないこと?」
「そうです、なぜ作品に触ってはダメなのですか」
「傷むと大変だからです」
「他には何があるでしょう」
「声を出したり走ったりしないこと?」
「そうですね、なぜでしょうか」
「今挙げていただいたことは、一つは作品を守るために重要です。でももう一つ理由があって、それは子ども達自身を守ることにつながるからです。美術館には、絵画のほか鉄の塊のような作品、トゲトゲの作品なども展示してあります。走ったり騒いだりすると、けがをする危険がありますよね」
川上さんの説明に、ママ達はみんな納得顔。発言することに慣れてきたところで、エレベーターで3階に上がり、いよいよ鑑賞会がスタートします。現在開催中のMOMATコレクション特集「春らんまんの日本画まつり」で、まず向かったのは日本画のフロア。そこには、菱田春草(1874~1911年)の風景画などの絵画が多く展示してあります。
「この部屋で、『ここに行ってみたい』という絵を一枚探してみてください」
川上さんが促します。