日経DUALで掲載した連載「ママとがんと家族」がよく読まれたことから、共働きの子育て世帯が気にしているがんについて、詳しいリポートをお送りします。今回取り上げるのは、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2016年3月に発表した政策研究レポート「がん治療と仕事の両立に関する調査」。がん罹患時に正社員として勤務し、現在も就業を継続している65歳以下の男女(罹患後10年以内、1次産業・公務員を除く)を調査対象としている本調査から見えてきた、働く男女のがん治療と仕事の両立についての実態を紹介します。

男性の45.1%は、がん罹患時に管理職(課長以上)

研究員の野田鈴子さん
研究員の野田鈴子さん

 本調査を担当した、三菱UFJリサーチ&コンサルティング研究員の野田鈴子さんは言う。

 「日本人の2人に1人ががんに罹ると言われている今、働く世帯が仕事と治療をどう両立しているかを明らかにしたいと考えました」

 この調査によれば、女性のがん罹患時の年齢は「40代」が47.7%と最も高く、次いで「30代」が29.9%だった。一方で男性は「50代」が50.6%で最も高く、次が「40代」(35.1%)となった。また、男性の場合、45.1%ががん罹患時に管理職(課長以上)であることが分かった。

 男女でがん罹患時の年齢にここまで違いが出る背景には、最初に診断されたときのがんの種別が関係しているようだ。女性で2位以下を大きく引き離して1位だったのは「乳がん」(45.5%)、2位は「子宮頸がん」(19.5%)。男性の1位は「大腸がん」(27.3%)、2位は「胃がん」(17.8%)だ。