お笑いコンビ、オリエンタルラジオとして活躍する中田敦彦さん。頭の回転の速さと幅広い知識に裏打ちされたトーク力、プレゼン力が光ります。私生活では、タレントの福田萌さんを妻に2歳の娘を育てるよきパパです。この連載では、現在進行中の育児や夫婦関係について、中田流超ロジカル思考で、洗いざらい語ってもらいます。初回のテーマは「お受験」「娘にはさせない」と決めた、そのワケとは?

 子育てって、当然ですが「絶対」はないですよね。「これを親がやれば、子どもはこう育つ」という。

 子どもの歩む未来は誰にも分からない。だからこそ、「自分はこう考える、よってこう育てる」という親の土台が必要だと思っています。根幹となる信条、といいますか。

 親の選択によって子どもが不利益を被ったら、それは親の責任として、起きたことも批判も受け止める。その覚悟があるかどうか、いつも自分に問いかけています。

 今、娘は2歳半ですくすくと育っています。この先、幼稚園に入れるのか、そうだとして、どこの幼稚園に通うのか模索しています。同時に、幼稚園の「後」を考えなくてはいけない。小学校受験をするなら、幼稚園の選択も変わってくると思いますから。

 まずは、わが家ではお受験はしないことに決めました。中学も、私立の受験はしない予定で、高校、大学も、娘にはできれば国公立に行ってもらいたいと考えています。

 理由はやっぱり経済的な問題です。僕達は第二子、第三子を望んでいるので、全員が私立を受験するとなると…家計を圧迫してしまいます。

 そしてもっと大きな理由は、わが子の能力を信じたいからこちらが環境を与えずとも、きっと自分で勝ち取ってくれるだろうと。

勝ち取る喜びを残すため、初期装備で与えたくない

 エスカレーター式の私立校に早いうちから入れておけば、順調に進んで「私大卒」の学歴は約束されるのかもしれません。それを放棄するわけだから、お受験しないことを“リスク”と捉えることはできます。

 一方で、与えてしまうことで、失うものもありますよね。

 強い武器を初めから持っているロールプレイングゲームって、つまらない。例えば、『ドラゴンクエスト』だったら、スタート直後の武器は木の棒で、スライムを倒すのさえ大変です。だけど、スライムを倒した金貨で買った銅の剣は、紛れもない自分の力で手に入れた武器なんです。銅の剣がもし初期装備で備わっていたら、意味合いが全く違います。

 自分の力でつかみ取る喜びを、娘に残しておいてあげたい。結果、勝ち取れないかもしれない。でも、それは適材適所ということなのでしょう。

 あるいは、子ども自身が周囲の大人を見て「学歴があっても、こういう人になってしまうのか」と判断すれば、勉強に時間を費やさない選択を能動的に取ることも考えられます。その場合は、世間的には「学力は低い」となるのかもしれません。

 ならば、きっと違う能力が備わっている。その能力で社会的責任を果たす人材として育ってくれる。そう子どもを信じたいんです。