3年間のハワイ生活で学んだこと

 ハワイの3年間で痛感したのは、真に2カ国語を操るバイリンガルになる大変さ。現地生まれの日本のお子さんが、毎週土曜日に日本語補習校に必死に通い、大変な努力をしていることを知りました。

 また娘には日本人として、根っことなるアイデンティティーをしっかり持って生きていってほしいと思いました。日本語の語彙を増やさないと、英語の語彙も増えません。英語の基礎が身に付いた娘には、今後は日本語を磨きながら、英語の幅を広げていってほしいと思っています。

 娘の小学校の中庭で年に数回行われたフラショーでは、白人、アジア人、ハワイアン…様々な人種の子が柔らかいメロディーに乗って一緒にフラを踊り、そのシーンは毎回涙が出そうなほど、素晴らしい光景でした。3年間で娘もその一員となれたこと、それが何より、人生を通して私達親子の宝物になっていくと思います。

母親のその後

 15年間勤めた会社を辞めて、ハワイ留学を決行した私は、帰国後は娘が学校になじむのをサポートしながら、ハワイのガイド本のライター/コーディネーターとしてフリーで仕事をしていました。ただ縁あって、以前勤務していた会社の再雇用制度(育児・介護が理由の退職者)が適用され声を掛けてもらい、この春から懐かしい会社に復帰することになりました。心身共に鍛えられた3年間の「人生修行」ともいえる日々を経験した今、また新しい気持ちで働き始めます。

学校や友人に恵まれ、最高の3年間(前列右が娘)。ハワイで出会ったすべての人に感謝です
学校や友人に恵まれ、最高の3年間(前列右が娘)。ハワイで出会ったすべての人に感謝です

★グローバル教育の“始めどき”はいつと考えた?
娘には、生まれた翌日から主人が英語の歌のCDを聞かせましたが(笑)…。実際は日本語を一通り話せるようになり、かつ外国語を話す羞恥心がまだない小学校入学前後かと思います。ただこの年齢で外国語が一気に入ると、日本語の語彙や漢字の遅れには、ある程度の覚悟が必要かも。

★移住先を決めたポイントは?
いざというときに日本語が通じる医者、弁護士がいる点。日系移民の歴史があり、日本人も含めた、アジア人が暮らしやすい点。温暖な気候。

★移住の初期費用として用意した金額は?
70万~80万円 ※2012年当時の1ドル=80円レート換算

【金額の内訳】
娘のプレスクール代(2カ月分):16万円(3カ月目から5万6000円/月)
母の語学学校代(2カ月分):11万円
航空券:15万円
ホテル代:15万円(最初の2週間)
住居家賃:9万6000円
通常生活費:12万円

★住居費はいくらくらいかかる?
親子で住めるコンドミニアムのスタジオ(ワンルーム)は12万円~、ワンベッドルームで15万円~。ハワイは島で土地も限られているため、住居費は肌感覚で東京より高め。最初のワイキキのコンドは、広めのワンルーム、家具付きで光熱費を含め約9万6000円。最後の3軒目の家は一軒家の庭付き、ワンベッドルーム、光熱費込みで15万円でした。

★学費はいくらくらいかかる?
母親の語学学校の学費は1カ月5万6000円。娘のプレスクールも同額。娘の公立小学校の学費は無料。1カ月の給食代4000~5000円、放課後の学童代6500円、フラダンスレッスン代3500円、水泳レッスン代4000円などで、学校以外の費用に1カ月約2万円。他に土曜日に通った日本語補習校授業料が年間約15万円。日本から仕送りを受ける親子留学の場合、為替の変動に大きく影響を受けるので、要注意です。

竹下聖

竹下聖

1974年、東京生まれ。1997年に東京・大手町の新聞社にスポーツ記者として入社。その後2006年の結婚・出産を機に、広告営業に異動し、合計15年間勤務。在職中の2001~2002年に、会社の休職制度で米国・サンフランシスコの郊外に1年間語学留学。家族は、別の新聞社に勤める夫と現在9歳の娘と最近飼い始めたトイプードル。趣味はヨガと、南の島巡り。早稲田大学教育学部卒。