異例の産後2カ月で復帰したママ社長。藤田社長は止めたが・・

―― サイバーエージェントで「出世ママ」代表の石田さんは2児の母でありながら、子会社で社長業もされています。しかも、2回とも産後2カ月で復帰されたのですよね?

石田 産休に入る前に藤田社長から「2カ月で戻るなんて、そんなに無理しなくていいよ、もうちょっとゆっくりしたら」というメールをもらいました。それを無視して復帰しました(笑)。

藤田 もちろん石田を気遣ってというのもありますが、石田がそんなに早く戻ったら後に続く人は「まずい、早く戻らなきゃ」となってしまう。石田を気遣うフリをしながら、僕はそれを心配していました(笑)。

―― 実は「2カ月で復帰しろ」というオーラが社長から出ていたとか?

石田 いいえ、本当になかったです。私も社長として経営している立場で言うと、そんなに早く復帰しなくていいという感覚は当たり前なのですよね。後に続く社員のことを考えなければいけないし、ママになっても活躍できる土台を組織的にも風土的にもつくっていかなければいけない。そんな中で、あまりにも極端に頑張り過ぎている社員がいると、それを目指そうという人がいなくなってしまうというのは重々理解していました。でも、法律で決められている産後休暇だけを取得して、個人の意思で戻りました。

―― 早く働きたかったのですか?

石田 育休を取る選択肢はなかったです。保育園には入れなかったのですが、たまたま両親のサポートを得られる環境もあり、まずは復帰して後から考えようと。2人目も産後2カ月で復帰しました。

 私の場合、結局仕事と育児をどちらもやることで、エネルギーをもらっています。育児だけでも本当に大変じゃないですか。それに100%向き合っていると疲弊してくる。だから戻りたいというわけではないのですが、どちらもあることで、両方に対して真摯に向き合え、全力投球できる。仕事が好きと思われがちなのですが、どちらも頑張るために早く復帰した、という感じです。「いつでも戻っておいで」と快く送り出してくれた会社に対して、早く戻って貢献したいと勝手に自分が思ってしまったというのもあるかもしれません。