インターネット市場の中で成長を続けるサイバーエージェント。女子としても輝いていて、かつ仕事でも活躍している女性社員は「キラキラ女子」と呼ばれています。サイバー女子社員は「キラキラ女子」の宝庫。そんな「キラキラ女子」が年齢を重ね、結婚・出産をしたら会社に居場所はあるのでしょうか?

 こんな素朴な疑問を、日経DUALの羽生編集長が代表取締役社長の藤田晋さんに直接詰問! 「出世ママ」代表として石田裕子さん、独身若手女性社員代表として中出恵利花さんにも集まってもらい、サイバーエージェントで働く女性の本音にタブー抜きで迫りました。

サイバーエージェントでは、キラキラ女子でない「母」は働けるのか?

日経DUAL羽生編集長 サイバーエージェントは若くてキラキラした女性社員が活躍している、というイメージがあります。それ自体はいいことですが、私は2児の母でアラフォー。いわゆる“コブ付き、おばさん社員”は、御社の場合、働き続けてもいいのでしょうか? それともキラキラでなくなったら、やんわり肩たたきに合ったりするのでしょうか?

藤田 晋(ふじた すすむ) 株式会社サイバーエージェント 代表取締役社長。1973年福井県生まれ。大学卒業後、人材会社勤務を経て98年にサイバーエージェント設立、代表取締役社長に就任。2000年に当時史上最年少の26歳で東証マザーズ上場後、2014年には東証一部へ上場。著書に『起業家』『渋谷ではたらく社長の告白』など。私生活では1児の父。
藤田 晋(ふじた すすむ) 株式会社サイバーエージェント 代表取締役社長。1973年福井県生まれ。大学卒業後、人材会社勤務を経て98年にサイバーエージェント設立、代表取締役社長に就任。2000年に当時史上最年少の26歳で東証マザーズ上場後、2014年には東証一部へ上場。著書に『起業家』『渋谷ではたらく社長の告白』など。私生活では1児の父。

藤田さん(以下、敬称略) もちろん働けますよ(笑)。おばさんになったら働いてはいけないなんてイメージがあるのですね、それはいけませんね。うちの社員の年齢は今や30代が約半数を占め、30歳前後が一番のボリュームゾーン。みんな年頃ということもあり、結婚・出産が立て続いています。現在の女性社員に占めるママの比率は約2割。産休・育休後に復帰する社員の比率は97%です(2015年9月末時点)。

石田さん(以下、敬称略) 私も2児の母です。ママ社員は100人くらいいますね。

―― そんなにママがいるとは。キラキラ女子だらけだと妄想していたので、正直驚きました。でも世間のイメージは私の妄想に近いと思いますよ。

藤田 1998年に会社を設立して18年が経ち、今、僕が42歳。もともとは、新しいインターネットという業界を若い人達と切り開いていきたいと思っていたので、なるべく自分より下の世代ばかりを採用していました。そのため、最初は20代しかいませんでした。しかしインターネットの歴史とともに、会社も人も年齢も変わり、今は30代、40代も増えてきましたね。

ネット業界は、やっぱり若くないと使いものにならないのか?

―― もともとはベンチャーということで、やはり若くないとやっていけなかったのですか?

藤田 インターネット業界黎明期は、柔軟な発想を持つ若い人が早く活躍できました。けれど、ネットビジネスも時間が経ち、経験や知識が競争力になってきました。今は逆に若者集団というわけにはいかない。時間の経過とともに、会社の年齢構成もバランス良くやっていきたいと思っています。

―― しつこいようですが、それでは「おばさん」が増えてきていることを、藤田社長は憂いてはいないのですか?

石田 裕子(いしだ ゆうこ) 株式会社Woman&Crowd 代表取締役社長。1981年青森県生まれ。2004年にサイバーエージェントへ入社。広告営業として実績を残し、同社初の女性営業局長、統括といったポジションを歴任。2014年9月より現職。2015年には初の著書である『ワーク・ライフ・セルフの時代』を出版。私生活では2児の母でもある。
石田 裕子(いしだ ゆうこ) 株式会社Woman&Crowd 代表取締役社長。1981年青森県生まれ。2004年にサイバーエージェントへ入社。広告営業として実績を残し、同社初の女性営業局長、統括といったポジションを歴任。2014年9月より現職。2015年には初の著書である『ワーク・ライフ・セルフの時代』を出版。私生活では2児の母でもある。

藤田 いませんよ。よく言われるのですが、特に若い女子を集めているわけではないです。むしろ「女子社員は若くないとキラキラしていない」みたいなことが社内で起きないよう、懸念しています。

―― では別の質問を。若くてきれいな女子社員が多いので、よく「サイバーは顔採用」と噂されていますが、本当はどうなのでしょう。今日も非常に綺麗なお二人が、目の前に座っています。

藤田 顔採用なんてことはないです。男性だって顔採用しているわけではないです。でも、性格が良かったり、見栄えもぱりっとしていたりする人は確かに多いですね。何となく「サイバーエージェントとカルチャーが合いそう」と思って採用していると、同じようなパターンが踏襲されて、結果的に顔採用と言われる。僕は会社の同質性は大事だと思います。イチかバチかで異色な人材を採用するとたいていろくなことはありません(笑)。

―― 「会社の同質性は大事」というのは面白いですね。今しきりにダイバーシティ、ダイバーシティと言われているムードの中で、「踏襲されていく“らしさ”」を大切にされるとは、経営の本質のような気がします。

石田 確かに面接官のコメントの「サイバーエージェントっぽい」というのは間違っていないと思いますね。雰囲気や外見もですが、うちの社員はみんな素直。潜在能力を引き出すには素直じゃないと伸ばしようにも伸ばせない。それで結局、なんだかんだみんな同じような子になります。