夫は、産後の妻との距離感をどう保つのかが大事

大葉ナナコさん
大葉ナナコさん

大葉ナナコさん(以後、敬称略) 鈴木さんは育休ではなく、あえて“父勉”と表現していらっしゃいますね。育休って言うと、バカンスみたいに捉えられてしまうということもまだまだありますね。

鈴木 だからこそ、育休ではなく父親になるための勉強をする期間ということで“父勉”という言葉を勝手に作って、勝手に呼んでいます(笑)。勝手に言葉を作っている立場なので、言えることじゃないかもしれないのですが、最近、ビックリしたことがあったんですよね。

 お父さんが育休を取得したのはいいのだけれども、そこでイクメンという言葉がもてはやされる中、自分とのギャップに悩んで精神的に参っちゃうパパのことを、マタニティーブルーならぬ「パタニティーブルー」と言うそうなんです。「なんだ? コレ?」って思ってしまいました。

 いざ育児をやってみたら、やったことのないことばかりだし、子どもが思った以上に大変だとか、奥さんが厳しくなるとか、そういうことでうつ状態になることを言うみたいです。

 気持ちは分からないでもないけれど、そんな状態になるまで無理しないでもいいと思うんですよね。育児というのは、無理やりやらされるものではないんですから。お父さんのハートって、本当にそんなに弱いのかなっていう疑問もありますが……。

大葉 そういう意味では、父親の産後うつも本当に深刻な問題で、最近では東大で研究チームもできているようです。

鈴木 うちの子どもが生まれてからは、出産経験のある女性の友達が、僕がパタニティーブルーにならないように、たくさんアドバイスしてくれたんですよ。皆さんがよく言っていたのは、「特に産後の奥さんが言った言葉は、すべて聞き流せ」ということでした。産後の奥さんの言葉をすべて真に受けていたら、あなたはマジメなので参っちゃうよって。女性の友達から口酸っぱく言われました(笑)。

 そこで、僕は奥さんの言葉を分析するようにしました。奥さんの発する言葉を僕は「7種類のため息」と呼んでいるんですけどね(笑)。産後のお母さんって、キッチンとかからいろんなため息でメッセージを送ってきませんか?

 「はー」とか、「うわー」とか(笑)。僕の分析によると、そのため息は7種類あるんです! そのため息を僕の中でジャンル分けをして、奥さんがため息のメッセージで何を僕に求めているのかに、気づくようになったというのもあります。そういった意味で、僕は奥さんとの距離感をどう保つのかっていうことも“父勉”しながら学びました。

豪田 さて、今日は色々なお話をしてきましたが、この映画『うまれる』シリーズは、2040年まで「命・家族・絆」をテーマにした作品として作り続けていきたいと思っています。

 まだ、5年しか経っていないので、あと25年あります。この先どんな作品が生まれていくのか、僕にも全く分からないのですが、僕と奥さん(牛山プロデューサー)と2人だけで作っているという気持ちはなくて、いろんな方々の支えや助けをいただきながら、皆さんと一緒に作品を作っていきたいと思っています。ぜひ、今後とも、よろしくお願い致します!