10年経ってから見たら、違う考え方になっているかも

鈴木 実は僕の姉の子どもが妊娠7カ月という早産で生まれて、出産後すぐに大手術で一命は取り留めたけれども障がいが残ったんです。生まれてすぐの手術で大変だったので、誰にも「おめでとう」って言われたことがなく、「大丈夫?」としか言われなかったらしいのです。

 僕も映画を見たときに、世の中には同じ出産でもいろんな状況があるのだなと気づいた。それからは自分と姉とおいっ子との向き合い方が大きく変わったという気がしています。

 それと、「0.001%の可能性を信じる」という気持ち。それを、世の中では奇跡と言うのかもしれないけれど、そういうことを信じる気持ちっていうのも、映画に登場する「18トリソミー」という、いつまで生きられるのか分からない障がいを持って生まれた虎ちゃんから教えてもらいました。

 2作目の『ずっと、いっしょ。』では、今度は、妻との向き合い方であるとか、死ぬということも考えさせられました。さらに、いろんなことを学んだ気がします。

豪田トモ監督(以下、敬称略) おさむさんの本を読ませていただいたのですが、妊娠が分かったのが2014年の10月くらいでしたよね。たぶん、2作目を見てもらったのが、そのころだったのではないかと。

鈴木 まさにそうでした。3回目の妊娠は人工授精でした。

 もしかしたらこの映画は、見る年齢によって受け止め方が違うのかもしれないですよね。僕もあと10年経ってから見たら、また違う考え方になるんじゃないのかな、と思います。親子の形であるとか、命であるとか、出産だとか、すごく考えさせられますよね。