都市生活は便利である一方、子育ての観点からは必ずしも合理的とは限りません。都市部で子どもが伸び伸びと遊べる広いスペースは限られていますし、交通量も多い。外で遊ばせてあげようと思って出かけたのに気が付くと子どもに「ダメ!」ばかり言っている、そんな経験、誰しも心当たりがあるんじゃないでしょうか?

 そんな都市生活のジレンマを解消してくれる方法として提案したいのが「週末・田舎育児」です。つまり週末だけ自然豊かな場所で生活するというライフスタイルのこと。子どもを自然の中に解き放つ“田舎育児”は、子どもとともに親も解放される貴重な時間を与えてくれるでしょう。

 今回の特集はそんな「週末だけ田舎育児」生活を送る子育て世代に登場してもらい、体験を踏まえて必要な資金や心構えなどを伺います。

 第1回は9年前に南房総にセカンドハウスを購入し、その暮らしぶりを記した『週末は田舎暮らし』の著者である馬場未織さんに登場してもらいました。

【週末だけ! 脱・都会ライフの楽しみ方】
(1)南房総で拡大中!「週末は田舎暮らし」な子育て ←今回はココ
(2)八ヶ岳にセカンドハウス、買っちゃいました!
(3)キャンピングカーで脱都会! 0、3歳児も自然児に
(4)年貢3000円!秋田・シェアビレッジで里帰り体験
(5)「田舎育児」を今すぐ始められるサービス&施設

生粋の“都会モン”が二地域居住に興味を持った

馬場未織(ばば・みおり)さん
馬場未織(ばば・みおり)さん

 株式会社weed seed 代表、NPO法人南房総リパブリック理事長、建築ライターなどの肩書を持つ馬場未織さんは千葉県南房総市の農家だった古民家を農地ごと購入。平日は都会で働き、週末は田舎で過ごすという「二地域居住」を実践しています。

 都市生活者、特に遊び盛りの子どもを持つ家庭にとっては理想ともいえるライフスタイルですが、いざそれを実行に移すとなると費用や住まいの管理、地元とのコミュニケーションなど、ちょっと考えただけでも様々な困難が予想されます。

 「もともと私は東京のマンションに生まれ育った生粋の“都会モン”だったんです。両親も都市生活者だったので『田舎のおばあちゃんの家』とも縁がなかったのですが、それでも特に不満もなく暮らしていました。ところが長男が生まれたことをきっかけに、都市生活に疑問を感じるようになったんです。
 長男は物心がつくころには植物や虫、魚に興味を持ち、暇さえあれば図鑑を眺めていました。当然、見るだけでは飽き足らず、実物を求めて外に出かけるようになる。私も子どものころから、大の生き物好きだったので、わが子を連れて近所の公園に行くのですが、これがなかなかうまくいかないんです。虫もわずかしかいないし、草木を採集したり土を掘り返すことだって自由にできない。結局あれもダメ、これもダメになってしまうんですよね」