育児が一段落してからの仕事スタート。私にとってはベストなタイミングだった

―― 息子さんからすると、中学生になったころから、お母さんが急に忙しくなったことになりますよね。何か言われたことなどはありましたか? どんな反応だったのでしょうか?

木村 息子が高校受験のころに私はちょうど学生になったばかり。たくさん勉強している時期でした。もう中学生だし、親が口を出さなくても、これだけ老骨に鞭打って勉強している後ろ姿を見せていれば大丈夫だと思っていたのですが、「頑張れ」って肩をたたいてくれただけで、自分は勉強するようにはなりませんでしたね……残念ながら(笑)。子育てってなかなかうまくいかないなと思ったのですが、大学付属の高校に入ってくれたので、まぁ良かったです。

 前の夫とは、あまり良くない関係がずっと続いていましたが、息子の高校入学後に正式に離婚しました。

―― 看護師として、病院や日本看護協会で働きだしたタイミングは、子育てが一段落してからという時期で良かったと思われますか?

木村 私の場合、たまたま早く出産したからこそできたことで、恵まれていたし、周囲に助けてもらったからこそではあるのですが、タイミングは良かったのかもしれません。

 私がこの世界に入ってからの1つのミッションとしては、「こういう事例もあるんだよ」ということを色々な場所で伝えるということがあります。女性の活躍について話し合う場でも、議員や霞ヶ関の方々にもお示ししたいと思っています。

 昔、実習先の病院で妊婦検診をやっているときに、私一人が年配の実習生だったからか、検診にいらっしゃるお母さん達に話しかけられるということがよくありました。

 「私、38歳で看護学生になったんですよ」と言うと、「私も本当は看護師になりたかったんです」と話し始めるお母さん方もいるんです。「今からでも全く遅くないので、チャレンジしてください」とよく言っていました。

 日本ってすごく画一的で、「18歳で大学に入って、卒業したら新卒で企業に入って、夫婦二人そろっていて、子どもが2人くらいいて、一戸建てを建てて……という形が一番いい」というのが強くあって、ちょっとでも外れると良くないと思わせるものがありませんか? 大学なんて、仕事してから入学してもいいんだし、子育てしてから仕事をしたっていいんだし、私は常にそうした多様性の味方でいたいと思っています。