開成中に難なく合格したが…
日経DUAL編集部 SAPIXのテストで1位なんてすごいですね。どんな小学生だったのですか?
遊びやゲームが好きな普通の小学生でした。小3から塾に行き、新しい知識を得るのが楽しいな、と感じました。小4の夏に、通っていた塾から独立する形でSAPIXができたんです。4~6年生のあいだ、そのSAPIXの統一テストで3年連続1位をとった。1位をとることによって皆に注目され、お調子者だったこともあり、よりモチベーションが上がって勉強を頑張る。好循環に入っていきました。
―― そして開成中学に入学。順風満帆に見えますが…
勉強は嫌いではなかったのですが、あくまでゲーム感覚だったのかもしれません。小学校のときには、塾で学習し、問題が解け、いい成績を残すことで、承認欲求が満たされていた。でも中学に入って目標を失い、ゲームなどの遊びに夢中になってしまったんです。サッカー部に入ったものの、サッカーに生活すべてを費やすほどの熱意はなく、部活を休んだことも多かった。レギュラーにはなれませんでした。
その後、学内で花札などの賭け事がはやりました。最初は先生も黙認していたのですが、だんだんと賭け金などがエスカレートし、とうとう中3のときに学校による一斉摘発が。僕は「主犯格」ということで退学処分スレスレでした。
―― 一方で、成績は良かったのですよね。
良かったですね。校長先生を見返したくて頑張りました。とはいえ、僕はダラダラ勉強するのは嫌なので、効率的な勉強のやり方をいつも考えていました。そのひとつは「授業の内容は、授業時に完璧に理解する」ということです。分からないことは授業の後に先生に質問して、その場で解決していました。
今、子ども達に教えていて、しみじみ大切だなと思う能力は「自分が分かっていないということを知っている」ということ。授業などで話を聞いて、「ここは理解できていない。難しい。分からない」と気付ける能力です。塾では、たびたび「今のってどういうことかな。説明してくれる?」と問いかけます。自分の言葉で説明できないときは、理解していないことが多いです。