──今回分析するのは、栃木小1女児殺害事件です。2005年12月に起きた事件ですから、今からちょうど10年前ですね。確か、誘拐された場所が栃木県今市市で、遺体が見つかったのが茨城県常陸大宮市だったんですよね。着目すべきは、誘拐現場でしょうか、遺体遺棄現場でしょうか。
これまで同様、犯罪が始まった場所、つまり誘拐現場です。この連載では、ずっと「犯罪のスタート地点に共通点がある」という視点から事件を分析しています。なぜなら、その場所にさえ行かなければ、犯罪に巻き込まれずに済むのですから。どういった場所で犯罪が始まったのか、そのことに注目していきましょう。
──この事件が始まった場所には、どんな特徴があったのでしょうか。
その前に、事件当日の被害者である少女の動きを辿ってみましょう。学校からの帰宅途中、事件が起きました。いつもは少女の祖母が迎えに行っていたのですが、この日はたまたま事情があって行けませんでした。
少女は三叉路で友達と別れ、一人になりました。三叉路から家に帰る道は2つあり、ひとつは細くて遠回りの道。もうひとつは、住宅開発途中で放置され、不法投棄されている空き地を通る近道。女児はふだんは近道を祖母と一緒に歩いていたようです。