選択肢があったら、より安全なほうを選ぶ

──なるほど、「物理的に見えにくい」だけではなく、「心理的に見えにくい」ということにも、注意しなければならないんですね…。では、今回取り上げた事件から学ぶべきポイントを教えてください。

 この事件では、誘拐地点と遺体遺棄地点が異なっています。これは、プロファイリングでは「秩序型」の特徴だといわれています。とすれば、犯人は知的水準が高いことになります。きっと、慎重に犯行場所を選び、巧みに連れ去ったのでしょう。

 こうした犯罪者は、子どもを簡単にだませます。どれほど教師や親が子どもに「怪しい人に気をつけて」と教えていても、犯罪者から子どもを守ることはできません。子どもをだます「人」を見るのではなく、子どもをだまさない「景色」を見ることに重点を置いて教えるべきでしょう。

 選択肢があるときは、より安全な道を選ぶこと。そのときの指針になるのは、この2つのポイントです。

1. 入りやすい場所
2. 見えにくい場所

 「見えにくい」場所の景色には、物理的な要素と、心理的な要素があります。物理的な「見えにくい」にとらわれすぎてしまうと、心理的な「見えにくい」を見逃すことになりかねません。

 心理的に「見えにくい」場所を見分けるための訓練として、お子さんと一緒に、次のようなことをやってみてください。

1.通学路を歩きながら、ゴミが落ちていたり、自転車が置きっ放しになっていたりする場所を見つける
2.落書きがある壁の前に立ち、周りを見渡して「誰かに見られている感じがするかな?」と質問する
3.自宅の周りを歩き、不法投棄や放置自転車、あるいはを落書きを見つけたら、最寄りの交番、地方公共団体(市町村の役所)、町会・自治会などに相談する。
4.そのとき、危ない場所を見分ける2つのキーワード「入りやすい場所」「見えにくい場所」を一緒に復唱する


通学路の途中に放置自転車を見つけたときは、最寄りの交番か地方公共団体(市町村の役所)などに相談しよう

 なかでも、3番の放置自転車や不法投棄、落書きなどの対応は、お子さんが生活する環境全体を安全にするためにも大変効果的な方法です。

 お子さんの防犯意識や防犯知識を高めることはもちろん大切ですが、その他に親ができることとして、行政や地域を巻き込んで、「入りやすく見えにくい場所」を「入りにくく見えやすい場所」に改善することがあります。そうしたアクションを起こしてみてはいかがでしょうか。

(解説/小宮信夫 取材・文/井上真花 写真/勝山弘一)