こんにちは。旅行ジャーナリストの村田和子です。今回から、DUAL読者の関心が高い「子連れに優しい旅サービス」や「旅育サービス」に注目した新連載がスタートします。開発の背景や意図、企業や担当者の思いなど、サービスの裏側をジャーナリストの視点でご紹介していきます。子育て中のママ&パパとして、企業人として、共感や仕事上のヒントを得ていただければ幸いです。

 連載第一回では、よみうりランドに3月18日に誕生した「グッジョバ!!(GOOD JOB ATTRACTIONS)」にフォーカスします。「グッジョバ!!」は、モノづくりをテーマに、遊びが学びへとつながる世代を超えて楽しめる体験型の遊園地。開発の経緯やオープンまでの道のり、「グッジョバ!!」に託した思いなどを、株式会社よみうりランド 遊園地事業本部副本部長である曽原俊雄氏に伺いました。

自ら積極的に楽しむ「モノづくり」がテーマの遊園地

株式会社よみうりランド 遊園地事業本部副本部長 曽原俊雄氏 ※2
株式会社よみうりランド 遊園地事業本部副本部長 曽原俊雄氏 ※2

 日経DUAL読者にもおなじみの遊園地「よみうりランド」は1964年オープン。半世紀を経た歴史の中で、25億円を投じたジェットコースターの新設、プールの改修などをしたものの、「グッジョバ!!」は100億円規模とケタ違いの投資。15のアトラクションが同時にオープンし、うち4つは日本初の技術を用いた開園以来の大プロジェクトです。

 構想は7年前。テーマパークが順調に売り上げを伸ばす一方で、遊園地は良くて横ばい、閉園するところもあり「これからの遊園地はどうあるべきか」の検討を開始。様々な角度から分析を重ねるうちに「遊園地で遊ぶのは楽しいけれど、常に受動的である」という課題にたどり着いたといいます。

 「乗れば機械が動いて楽しませてくれる、受け身のアトラクションが圧倒的に多いのです。お客様が遊園地のアトラクションで能動的に関わるのは、せいぜいゴーカート、弊社の施設でいえばバンジージャンプぐらい」と曽原氏。

 そこで「お客様自らが考えアクションする機会を持つ体験型の遊園地」をコンセプトに、テーマ型の屋内遊園地を検討。最終的にテーマを「モノづくり」に決めた理由は、大きく二つあったといいます。一つは日本が世界へ誇る「モノづくり」の技術や精神を子ども達に継承してほしいということ。

グッジョバ!!エントランスからの眺め ※2
グッジョバ!!エントランスからの眺め ※2

もう一つは、遊園地といえば家族の思い出の場。親子はもちろん、高度成長期を支えた祖父母世代と孫が「グッジョバ!!」での体験をきっかけに、会話を増やし絆を深めてほしい……三世代での利用を見据えた狙いもあったといいます。

 子どもにも身近で生活に密着した「自動車」「食品」「ファッション」「文具」の4業種のファクトリーを設置。商品・サービスの本質、プロのノウハウを生かした「ホンモノ」にこだわるために、各業種の企業との協業という形で開発が進められることになりました。