住宅購入やライフプランに悩む共働き世代をファイナンシャルプランナーの中嶋よしふみさんがリポートする本連載。前回に続いて、今の仕事を辞めて起業し、子どもとの時間をもっと確保したいという夫婦のお悩みを取り上げます。独立後、家計を破綻させずにやっていけるのか、ローンの残る住宅は繰り上げ返済しておいたほうがいいのか……中嶋さんが自分の独立経験も交えて回答します。

 子どもとの時間をもっと取りたい、そのために仕事を変えたい。旦那様は昇進すれば年収1000万円まで給料が増える予定だが、それでも独立してイクメン向けのコミュニティービジネスをやってみたい、奥様は正社員からパート勤務へ転職する……そんなライフプランを考えている橋元さん夫婦。

 今回は独立にあたっての経営アドバイスになるが、その前にご夫婦のデータをおさらいしておきたい。

■年収
夫(41歳) 730万円 中堅出版社 現在は旅行雑誌の編集者。過去に広告営業も経験。昇進の話が出ており、管理職になれば1000万円くらいになる予定
妻(37歳) 360万円 大手旅行代理店 現在は時短勤務。出産前の年収は600万円超。時短勤務終了後は退職してパート勤務を希望

■家庭の状況
結婚10年目。5歳と3歳の男の子がいる

■現在の住居
埼玉県のマンション(持ち家)に在住

■購入プラン
購入時期 2013年2月
物件価格 3130万円
頭金 220万円
金利 0.675% 35年ローン
毎月の返済額 77811円(管理費・修繕積立金は2万円ほど)

■資産
貯金 1000万円
毎年の貯金額 ここ数年の平均では100万円くらい

■レッスン・相談の内容
夫婦とも仕事が多忙で、子どもとの時間が全く取れない。夫は独立、妻は転職して時間を確保したいが、収入が激減してしまいそうで決断ができず困っている。もし独立するなら住宅ローンは繰り上げ返済をしたほうがいいのか、そこも相談したい

夫が独立し、妻はパートになると家計はピンチに

 前回の相談では旦那様がイクメン向けのビジネスを副業として始め、近い将来にそれを本業として独立したい、奥様も時短勤務が終わったら退職してパート勤務を選ぶというプランをうかがった。厳しめに見積もり、旦那様は独立して収入が半減、奥様もパート勤務へと変更して世帯の収入が激減した場合、毎年貯金を400万円も取り崩すことになりかねず、数年で家計が破綻する可能性もあるという試算が出た。独立後にいくら稼げるか? やはり独立が可能かどうかは収入が最大のポイントとなり、そのためのアドバイスを提供した。

シェアーズカフェ・中嶋(以下、中) 以前、起業セミナーに参加されたということですが役に立ちましたか?

 ある程度は。人を雇うとかお金を借りるとか、そういうのはまだ先というかあまり今の僕には現実的な話ではありませんでしたけど。事業計画書を作ったことは勉強になりましたね。

 今後の事業展開の都合上、詳細は省くがいくつかの事業計画もうかがった。いくつかの事業を組み合わせて生活を成り立たせる予定だという。どれも面白そうには思うが、あまり利益が見込めそうにないものも多かった。