週末起業のメリットは「失敗できる」こと

 親子で参加できるフットサル教室は旦那様がコーチをやるんですよね。これは事業としては有望ですか?

 やりたいとは思いますけど、イマイチです。周りの人は面白いと言ってくれましたけど、シミュレーション上は年間で80万円くらいといった感じでした。

 それは週末起業での売り上げですか?

 そうですね。週に1回実施して、数字は売り上げではなく利益です。

 週に1回で年間の利益が80万円ならすごいと思いますよ。フットサル教室だけをやるわけではないと思いますから、いくつか行う事業としてはかなり有望と考えていいと思います。もちろんライバルはいると思いますのでそのあたりはちゃんと考える必要はありますけど。旦那様は今までお給料以外の収入を得たことはありますか?

 イクメンについてフリーペーパーに原稿を一本書いてほしいと依頼されて5000円の原稿料をもらったことはありますけど、それくらいです。

 それは結構すごいです。独立して最初の1円を稼ぐまでが結構大変なんです。1万円じゃないですよ。お客さんからお金をもらうのはそれくらい大変だと考えて下さい。原稿依頼の収入ですと自分から仕事をゲットしたという感じではないので、1円のハードルの次は自ら興した事業で収入を得ることですね。お試しというかテスト的にでもフットサル教室とか、先ほどうかがった事業はまだやられていないんですよね?

 まだですね。なかなか踏ん切りがつかないというか……。

 そこはまず一度やってみてください。週末起業のメリットは失敗してもいいところですから。事前にちゃんと考えることも準備することも重要ですけど、実践しないことには始まりませんから。試しにフットサル教室をやってお客さんが来なかったとしても、損失はたかが知れてますよね。でもそこから得られる経験はお金に代えられません。お話をうかがっているとかなり慎重に独立を進めようとしているようで、それはもちろん重要なんですけど、見切り発車でいいから一度やってみることもぜひ考えてください。会社の仕事だと失敗しないことが重要ですけど、独立したら失敗することも必要なんです。

 そうなんですか?

 失敗しないということはできることしかやってない、つまりリスクを取ってないということですから。リスクを取らないとできないことってあるんです。リスクを取れば必ず成功するとかそういう意味ではないですけど、お金を失うリスク、かけた時間が無駄になるリスク、失敗して恥をかくリスク……。自分は手間がかからなくて金銭的なリスクもないことはとりあえず思いついたらやっちゃいますね。細かいことはやってから考えます。金銭的なリスクでも額が小さいなら気にしません。とりあえずやってみる、取れる範囲ならリスクを取ってみる、と考えてください。これは大した話ではないんですけど、従業員としての考え方とかなり違います。

 普段の仕事でとりあえずやってみる、というのは確かにありえないですね(苦笑)。

 自分の今の仕事も見切り発車からスタートしたものばっかりです。今の売り上げの半分以上がスタートの時点では見切り発車で始めたことがきっかけです。開業前に考えていた集客プランは一つも成功しませんでしたから。自分の場合はさすがにひど過ぎですけど(笑)。

 それでも軌道に乗ったんですね……。

 とりあえずやってみよう、とりあえず売り込んでみようと。それで成功すれば大もうけ、失敗してもダメージはなし、という状況ならやっぱりやるべきなんです。見切り発車っていうと聞こえが悪いですけど、インスピレーションなら格好良いですかね(笑)。 

 もちろん、コアにFPとしての相談・レッスンがあって、そこへいかにお客さんを集めるか、という軸は全くブレていません。ここは従業員マインドから経営者マインドへの切り替えができないと、確実に破綻してしまいます。