変化する中学受験。今、親がわが子に求めている学校とは?

 一方で、依然として「わが子に残せるものは『学歴』」という考えの家庭も多く見られました。同じ学校を受けるのであれば、少しでも難しいコースに入れたいという表れが、今年度の入試は、昨年度よりもさらに強まったようです。

 例えば、淑徳の「スーパー特進東大セレクト」の第1回入試は、昨年の272人から今年は344人に、都市大等々力の「S特選」第1回入試は、昨年の293人から今年は514人と大幅に増加。また、埼玉栄の「医学クラス」は、新設にもかかわらず132人の出願がありました。八王子学園八王子では、普通コースの出願が32人にとどまったのに対し、新設の「東大・医進クラス」には139人の出願があり、より難しいコースへの出願が増える傾向があります。

 親達の動向を受けて、安田さんはこう話します。

 「『グローバルコース』の新設など、次の時代をにらんだ改革を始めた学校に受験者が集まる傾向が顕著です。今はもう伝統校だからといって、人が集まるわけではないのです」

 「大学通信(*)が首都圏の327の学習塾にとったアンケートによると、2014年に親が最も求めている学校は『理数教育に力を入れている学校』でした。それが昨年は『部活動に力を入れる学校』に変わり、今年は『グローバル教育に力を入れている学校』へと変化しています。つまり、親達のトレンドの変化はとても早いのです」
* 大学通信とは、東京・千代田にある情報サービス会社)

 「しかし、依然として人気が高いのは大学合格実績のある学校です。面白いことに、前年に東大・京大の合格者を一人でも出した学校は、翌年の入試で必ず出願者が増えています。私立中高一貫校にとって、東大・京大に合格者を送り出すことは、生徒募集に大きな効果があるのです」

 グローバル教育への関心が高まる中、依然として学歴重視の家族も多かった中学受験。今はもう伝統校や親が知っている名前の学校が人気のある学校とは限りません。親の時代には聞いたこともない学校や、いまひとつと思われていた学校が、メキメキと力を伸ばしているのです。こうした情報をいち早くつかむことも、中学受験では大事なこと。人気のある学校だからいいのではなく、「なぜその学校は人気があるのか?」に注目し、わが子に合った学校選びをしましょう。


3月初めに安田教育研究所が東京都内で開催した「中学入試セミナー」。私立中高一貫校の先生が大勢集まった

(図デザイン/Coccoto 前田千晶)