子育てから仕事から夫婦関係から社会問題まで、働く母とはなんと多くの顔を持って生きていることだろう。最愛の息子を育てながら小説家として活躍する川上未映子さんが、素敵も嘆きもぜんぶ詰め込んだ日々を全16回にわたりDUAL読者にお届けします。第14回のテーマは、「友達」についてです。

 そういえば、最後に遊んだのって、いったいいつだったっけ……っていうか、遊ぶっていったい何だったっけ……今日もフレシネを飲んで考えた。

 子育てをしている親に休日がないのは、みなさんもう、ご存知のとおり。子どもが保育園に行っている平日の日中を働き倒し、帰宅すると夕飯作り、お風呂入れ、歯磨き、コミュニケイション、寝かしつけ。積み残しの仕事があればそこからまたパソコンに向かい、朝になって目覚めても眠った気がまったくしない。そして朝食を作り、食べさせ、保育園の準備をして、送り。仕事開始。昼食を作り、家事をし、また仕事。気がつけば子どもが保育園から帰ってくる時間。以下、くりかえし。

 そして土日は保育園はお休みだから、朝から晩まで子どもと一緒に過ごすため、常にフルの状態で、日曜日が終わるころには息もできないくらいぐったりする。そして月曜日。1週間がまた、おなじように始まるのだった。そう、親には休日がないのである。とにかくがむしゃらにやるしかないからやってるけど、これってわりにすごいことじゃないだろうか。

最近、遊んだ記憶がありません

 そんなことを10代の頃からの親友(子ども2人。近所に義両親が住んでおり、カジュアルに面倒を見てもらえるのでわりに好きに出かけられる)と話していたら、「……それはきついな……っていうか、じゃあ最近遊んだのって、いつ?」と聞かれて、少し混乱してしまった。そう、記憶のどこをどう探しても、「最近、遊んだ記憶」というものが、ないのである。