友達力をつけるために「熱中する世界を持つ」
日経DUAL編集部 2回目のときに、愛情不足になると他者不信感を抱えてしまい、友達と良い関係が築けなくなるといったお話を伺いました。小学校入学に伴って、わが子は友達とうまくやっていけるのだろうかというのも、親の大きな関心事だと思います。どんなことをしておけばいいのでしょうか?
親野さん(以下敬称略) 私は「友達との人間関係をうまく調節する力」のことを「友達力」と呼んでいます。この友達力をつけるためには、まず、友達と遊ぶ機会を増やすということが大事です。
あとは2回目でもお話ししたように、日ごろから親が言葉を直すことで、子どもの発する言葉が良くなれば、友達関係もおのずと良くなっていきます。
それとともに、もう一度言いますが、親は叱ることを減らす。とがめることをやめて褒めるようにする。さらに、子どもに対して共感に徹してあげることも大事です。子どもが何かを失敗すると「そうじゃないでしょ!」と、頭ごなしに叱ってしまいがちですが、そうではなくて、話を聞いてあげて「そうなんだ」とか、「大変だったね」「嫌だったね」といったところから会話に入っていくようにすることを忘れないようにしていただきたいですね。
子どもが他者不信感を持たないようにするには、「子どもを叱ることを減らして、褒めることを増やす」ことと、「子どもに共感する」ことの2つがポイントになります。これを心がけてさえいれば、他者信頼感が生まれ、友達関係を築くうえで一番大切な土台をつくることができます。
──友達力に必要な調節する力というのは、どういうものでしょうか?
親野 友達と遊ぶことも大事なのですが、一方で“一人でいる力”も必要になります。一人でいる力がなければ、いつも友達に頼ってばかりになってしまいますから。
一人でいる力というのは、一人でも何かに熱中できる時間を持てるということなんです。好きなこと、あるいは好きな世界を一つでも持っている子どもは、一人でも平気です。何かに熱中する体験がたくさんある子どもは、友達に頼り過ぎることなく、バランス良く友達関係を築いていけるのです。
そうなると、友達と群れてばかりということにはならず、自分のなかで完結した生活もできるようになるのです。ところが、一人でいる力がないと、誰かが誰かをいじめようといった雰囲気になったときに、その輪に加わらないと自分も遊んでもらえなくなるといった状況が発生してしまいます。でも自分はその輪に加わらなくて大丈夫と思える子どもは、いじめに加担しないで済むわけです。
つまり一人でいる力が弱い子どもは、いじめっ子の仲間に入って安泰を図ろうとしてしまう。一人でいる力がある子どもは自分の世界があるので、群れなくても平気です。それが、熱中する世界を持つということなんです。