「いじめ」に対する切り返しの練習をしておく

──いじめ問題というのも、小学校に入ってからの心配事の一つだと思いますが、1年生からでもあるものなのでしょうか?

親野 それはもう、保育園や幼稚園でも既にありますから。人間関係があるところには常にあるものと考えていいと思います。いじめているつもりではなく、ふざけてからかっているつもりでいても、やられた子どもからすればいじめられたということになります。

 そういうときに「いじめられた」と、ただ泣くだけでは、ますますいじめられてしまいかねません。そういうことにならないよう、切り返す練習をしておくのもいいでしょう。いじめに限らず、いろんなシチュエーションで友達との会話のやり取りをあらかじめ、親と一緒に練習しておくのがオススメです。

──切り返しの練習というのは、どういうものですか?

親野 友達とのやり取りに必要な言葉をロールプレイで練習するんです。うまく友達と遊べるのか心配であれば、例えば、お父さんが友達A君で、お母さんが友達Bさんになって会話のやり取りを練習するのです。A君とBさんが楽しく会話しているところに、子どもが仲間に入れてもらいたいというシチュエーションで、「ボクも入れて」と実際に口にして言う練習をするのです。

 ここで大事なのは、その場面を設定して、実際に本人が口に出して発音すること。これをやっておくと、実際の行動につながりやすくなります。そのときにちょっと変化をつけてみて、A君が「もう始まっちゃったからダメよ」と言ってみて、子どもがどう切り返すかを練習してみる。

 「じゃあ、見てていい?」とか「次に入れてね」など、うまく切り返すようなことを言えるようになれば大丈夫なのですが、ウーンとなって黙り込んでしまうようでは良くないですよね。さらに、ワーっとなって「入れてもらえなかったあー!」と泣いてしまうようでは、心配です。

 このように、いろんなシチュエーションで練習してみて、切り返す練習をする。こういったロールプレイは、友達力に心配がある子どもの場合、とても有効だと思います。

──意地悪なことを友達にしてはいけないよ、と言うばかりではなく、実際にちょっとした意地悪をされたとき、どう切り返すべきなのかを練習しておくのはいいかもしれませんね。

親野 なかなか切り返すことができない子どもはいますからね。わが子が心配であれば、いろんなシチュエーションを設定して、練習しておくと、実行しやすくなります。

 例えば、ありがちなシチュエーションでは、友達にカバンを持たされて、わが子が泣きながら帰ってくるとか。そういうときには、ロールプレイで「おい、おまえ、オレのカバン持てよ」と言ったらどう切り返すのか。「じゃあ、ボクのカバンを代わりに持って」とか、「じゃあ、順番だよ」「ジャンケンで決めよう!」などと切り返す練習をしておくと、いざというときに役立つでしょう。

 切り返しの見本を、最初は親が見せてあげてもいいですし、一緒に考えてみるのもいい。実際の言葉で声に出して言わせるようにしてみましょう。