全く問題がない“完璧”な家庭はありません。子どもの成長とともに訪れる課題に全員が「チーム」として取り組み、自分達らしい家族を形成すること--それが「ファミリー・ビルディング」の考え方です。幼児教育を通して6000人以上の子どもと接し、数多くの家庭をコンサルティングしてきた山本直美さんが、悩めるデュアラー世代へアドバイスします。第2回は多忙のあまり、どんどん実務能力が磨かれて、本人が思った以上に「豪腕」化してしまうテキパキママのお悩みについてです。

 こんにちは。チャイルド・ファミリーコンサルタントの山本直美です。

 年度末は子どものこと、仕事のこと、新年度に向けてやらなければいけないことがいっぱい。何で私ばっかりこんなに大変なの!? とイライラしてしまうシーンも多いと思います。忙しさのあまり、テキパキせざるを得ないので、なんだかママだけがどんどん強く、「豪腕」になってゆく……。そんなお悩みをお伺いする機会が増えます。

 でも、ちょっと待って!

 少し立ち止まって、家族の役割、パパの思い、ママの思いを整理してみたいと思います。ママ達が「アクセルを踏みまくらなければならない状態」があるのは分かりますが、家族がピリピリし過ぎてはよくありませんから。

 DUAL世代のママの皆さんは、パパにストレートに要求を伝えられていますか? 普段は口にしていない思い(または、諦め)を時には真っすぐに伝えれば、多忙によるイライラもすぅっと解消されることがあります。全部をママが引き受けて、怒った顔で家族の飲み物を入れていないでしょうか。「パパは何にもやってくれない!」と不満をため込んでいないでしょうか。

 ここは思い切って「子どもの麦茶を入れてほしい。大人には温かいお茶を入れてほしい」、こんな心の声を口に出してみてはいかがでしょうか

 会社で考えたら、上司が部下に「おまえはどうせできないからな……こっちで引き取るか」と思ってしまうのと似ている構図なのかもしれませんね。マネジメントする立場だったら言葉を選びながら伝える努力をしますが、家族となると、諦めが早くなるか、他人様には言えないような言葉も言ってしまいがちです。

 これは妻も夫も同じですが、根本には家族に対する「甘え」があります。ママ達が「全部私が引き受けてこなして、一体私はどこまで強くなればいいの?」と思っているとしたら、まずは疲れている自分自身の感情を受け止めてあげてください。そして、「そのまんま」を、まずは夫に(時間はかかるかもしれませんが)相談することから始めてみましょう