共働きの生活には欠かせないのが家事代行やシッターサービスだ。日経DUALでは2016年2月に読者アンケートを行い、169人から回答を得た。その結果は前回ご紹介した通り。さらに、大手もしくは日経DUAL読者が実際に利用している50以上の企業・団体を対象に、日経DUAL編集部が独自でアンケート調査を実施。回答された結果をもとに独自指標で配点しランキングした。各企業の生回答も抜粋し、順次公開していく予定なので、ぜひサービス選びに役立ててほしい。

家事代行・ベビーシッター業界のことを語るには、まず前提として業界事情を頭に入れておきたい。家事代行サービスを専門的に研究している野村総合研究所の武田佳奈さんと、病児保育事業を手掛けるNPO法人フローレンスを立ち上げている駒崎弘樹さんに聞いた。

【家事代行&シッターランキング2016】

(1)家事代行&シッター 読者6割が活用、選ぶ基準は?
(2)シッター発注 派遣型とマッチング型の混同注意! ←今回はココ
(3)家事代行1~10位!家事専門vs育児と併用
(4)ベビーシッター1~10位!教育力vs使い勝手
(5)家事代行&シッター・マッチングサービスって何だ?
(6)専門家に聞く 家事代行とのトラブル回避術
(7)ニッチなニーズ向けの家事代行・シッター大注目

5000億円規模に急成長! 家事代行サービスの未来

家事代行サービスを専門的に研究する、野村総合研究所の武田佳奈さん
家事代行サービスを専門的に研究する、野村総合研究所の武田佳奈さん

 日経DUAL読者のアンケートでは、60%以上の人が「使ったことがある」という家事代行サービス(前回記事「家事代行&シッター 読者6割が活用、選ぶ基準は?」参照)。野村総合研究所が2010年に実施した調査によると、掃除、洗濯、炊事などの代行を含めた家事代行サービスの市場規模は、2010年に1000億円程度だったものの、将来的には5000億円近い規模になるだろうと予測されている。

 その理由として、家事代行サービス業界の調査を行ってきた野村総合研究所の武田佳奈さんは、利用者側のニーズが高まっていることを挙げる。

 「共働きが増え、家事自体が従来よりも大きな負担だと感じる世帯が増えてきています。共働き以外にも、シニアの単身暮らしも増え、今後は家事の一部をアウトソーシングすることで家事の負担の軽減を図ろうとする人も増えるでしょう」と分析する。

 一方で、サービスを提供する業者や団体側もまだまだサービス拡大の余地が大きく、新規参入も増えていくだろうと予測している。

 「家事代行サービスは業界的にもまだこれから整備されていく分野で、規制や法整備も現状は厳しくないことが、供給側にとっては大きな魅力です。今後、少しずつ制度やルールが整えられていくことが予想されますが、まだ新しい分野のため、今後も新規参入業者や新サービスがどんどん増えていく可能性が高いでしょう。それによって業界も活性化し、質や価格面でも利用者にとって、より魅力的で使いやすいサービスが増えていきそうです」(武田さん)

 家事代行サービス業界がこれからさらに拡大すれば、価格の低下やサービスの多様化も進んでいく可能性が高く、利用者にとってはうれしい傾向だ。

<次ページからの内容>
・ 従来の派遣型vs新しいマッチング型の違いとは?
・ フローレンス・駒崎弘樹さんが語る「『シッターは高い』という誤解が生まれたワケ」
・ 家事代行&シッターを選ぶ際の“3つのポイント”