子どもの便秘問題。便秘といえば大人のものと思いがちですが、最近はストレスや緊張からくる子どもの便秘も増えているそうです。今回は「小学生の便秘」に焦点を当て、効果的な食生活の見直し法などの親ができるノウハウをご紹介します。

【子どものおしっことうんち問題 特集】
第1回 おむつはずしが進まないのは私が働いているせい?
第2回 子どものタイプ別 トイレトレーニング成功の方法
第3回 なぜ、おねしょは小学生のうちに治すべき?
第4回 トイトレ期の間違った対応が「子どもの便秘」を招く
第5回 親が便の状態を把握しにくい小学生の便秘対策 ←今回はココ

小学校のトイレにショック。「学校でうんちができない!」

 前回の記事で、トイレトレーニング期が便秘症の始まりになることもあるとお伝えしました。同様に、小学校入学時も便秘症状が悪化しやすい時期です。

 とはいえ、入学をきっかけに新たに便秘症になる子は少なく、もともと幼児期から便秘傾向があり、成長しても改善しなかった子が、入学がきっかけで本格的に便秘になるといったケースがほとんどだそうです。

 「排便外来」で日々、子どものうんち問題と向き合っている、さいたま市立病院の中野美和子医師によると、小学生の2割は便秘ではないかと言われています。

 「原因として、トイレ環境が大きく変わることが挙げられます。明るく開放的な保育園のトイレに比べて、小学校のトイレは『暗い・汚い・臭い』と感じる子も多く、洋式トイレの導入が完了していない学校もあったりと、学校でうんちをすることができなくなる子がいます。また、授業中に便意を感じてもトイレを我慢してしまう子が多いです。我慢すると直腸にうんちがたまり、次第にうんちがたまっても大丈夫な伸びた直腸になり、便秘症がなかなか改善しません」

 男の子の場合は「トイレの個室に入るとからかわれる」という理由で、うんちを我慢してしまうケースもあるかもしれません。「うんちがしたくなったら、いつでも我慢せずにトイレに行こうね!」と普段からお子さんに話しておくことが大切です。

ストレスフルな小学生は腸がリラックスする暇がない

 「最近の小学生はストレスを抱えている子が多いと感じます。当然、うんちにも影響が出ています。栄養バランスのよい朝ごはんをゆっくりと食べて、一息入れてからトイレでうんち、それから登校――といった理想的な朝の時間を送ることができている小学生は、一体どれほどいるでしょうか? 共働きっ子は、授業が終わると学童へ行きます。自分の家ではないのでリラックスはできません。そこからお稽古や塾に通う子もいます。ようやく家に帰ったらお母さんに『早くごはんを食べて、お風呂に入って寝なさい! 宿題はやったの?『』なんてせかされたら、たまりませんよね。慌ただしくお風呂に入り、慌ただしく寝る毎日の繰り返し。家でゆったりとできる時間がものすごく少ないのです」(中野医師)

 共働き家庭が増えて、お父さんもお母さんもストレスを抱えています。毎日が忙し過ぎないか、子どもにストレスを与えていないか、「早く、早く」とせかしていないか、生活を振り返ってみましょう。

 副交感神経が優位になるリラックス状態になると、腸がぐぐっとよく動くようになり、排便が促されますが、ストレスを感じていると、腸の動きが鈍くなります。小学生の便秘が増えている一番の原因は、こうしたストレスの積み重ねなのです

 では、小学生の便秘にはどんな対策が効くのでしょうか。次ページから具体的な対処法を紹介していきます。

<次ページからの内容>

・ 排便日誌の効果的なつけ方
・ 直腸の便を空にすることに成功したら、次にすべきこと
・ 便秘にいい食事=食物繊維?
・ オリゴ糖やビフィズス菌って便秘にいいの?
・ 思春期になると男女で便秘体質はどう変わる