身近なもので、「良いところ探し」を練習しよう

 サイコーの評価法は、仕事上での出来事だけでなく、子どもと接するなかで起こった出来事でも、もちろん活用できます。夕飯まではニコニコ話していたのに、お風呂に入っているときにふとしたことで叱りつけてしまい、泣かせたままで一日を終えてしまった。そんなときにも、その日一日を振り返ると、反省点だけでなく、自分ができていたことも見えてくる。そして、明日子どもにかけるべき言葉も浮かんでくるものです。また、「せっかくの休日なのに、ゴロゴロしただけであっという間に終わってしまった」というときにも、このエクササイズをすると「いいこともあったな」と自分を認められるようになります。

 気持ちが頑なになってしまい、なかなか良かったところなど見つけられない、そんなときは身近なもので練習してみましょう。たとえばあなたがいつも使っているボールペンの「良いところ」を見つけてみます。思い浮かんだことを瞬時に言葉にしてみるのがポイントです。

 ・指が当たるところにゴムがついている。滑りにくい工夫なんだな。
 ・直径はちょうど握りやすいように作られているんだな。
 ・持ってもほとんど重さを感じない。
 ・よく見てみるとお洒落な色のラインが入っている。
 ・ネーミングが面白い。

 などなど。意外に、あっという間に見つかるものです。これは、「良いところ探し」というエクササイズで、うつのリハビリのときなどに取り入れているものです。

 こんなふうに、身近なものの良いところを瞬時に見つけるスキルを磨くと、「空がきれい」「何となく、空気に春の香りがする」など、なにげないことに気づくのが上手になってきます。

 「今日もうまくいかなかった」という気持ちを繰り返していると、振り返る過去もずっと暗い色合いで塗りつぶされてしまう可能性があります。

 反対に「今日もまあまあ、いい一日だった」という日々が積み重なれば、人生そのものが明るい色合いになってくるものです。

 「サイコーの評価法」は、1日1度は行うこと。夕方の電車の中で一日を振り返るのでもいいですし、眠る前に布団の中で行ってもいいでしょう。会議の後など、やりたくなった場面で実践していただいてかまいません。

 多くのクライアントに実践してもらった結果、「毎日、真剣に行えば、1カ月ほどで効果が出てくる」というのが私の実感です。すぐに考え方が変わるわけではありませんが、きちんと続ければ、正しい努力はあなたを裏切ることはありません。

(取材・構成・イラスト/柳本 操 イメージ写真/坂齊清)