格闘技の聖地「後楽園ホール」でプロレスを見る

 そこで、向かったのがプロレス会場。なぜ、プロレスなのかといえば、僕が好きだから。僕の世代は日本のプロレスの創始者、力道山の試合を、テレビとはいえリアルタイムで見た最後の世代だ。ジャイアント馬場・アントニオ猪木の全盛期と青春が重なる。

 特にアントニオ猪木は大好きだった。何しろモハメド・アリとだって戦ったのだ。僕のきょうだいはみんなプロレス好きで、妹は猪木と死闘を繰り広げたインドの猛虎、タイガー・ジェット・シンのサーベルをかいくぐりながらも背中にタッチしたというのが自慢だったりする。

 まず、プロレスってどう? と息子達に振ってみた。漫画家修行中の長男は表現の一種として捉えていて、興味あるし見てみたいと。次男は「イタいのは見たくないな」と言った後、「学園祭の講演で武藤さんが来てくれたから、武藤さんの試合なら見てみたい」と。

 そんなわけで武藤敬司さんが旗揚げした「WRESTLE-1」(レッスル-ワン)を観戦することになった。場所は東京ドームのある水道橋、数々の格闘技の名勝負が行われ、格闘技の聖地と呼ばれる「後楽園ホール」だ

 まず、会場の熱気に圧倒されてしまった。久しぶりのプロレス会場は女性があふれていた! 女性の声援もよく響き、会場の一体感も半端じゃない。

 プロレスの試合にはレスラー同士の背景、戦いに至る因縁みたいなものが必ずあって、そのストーリーを知ったうえでないと楽しめない一面がある。息子達にも解説しなければいけないかと思っていたら、レッスル-ワンでは試合前に対戦者のビデオ映像をスクリーンで上映し、前知識のない観客でも楽しめる工夫があった。

休憩中の場内、汗と血のにじんだマット。意外に固いのだ、このマットもロープも
休憩中の場内、汗と血のにじんだマット。意外に固いのだ、このマットもロープも