日経DUALの読者の多くの方は、仕事と家事と育児で毎日バタバタですよね。パートナーとの家事や育児の分担で悩んでいる方も多いと思います。ワーママが3人集まると会社のことより、子どものことより、ご自身のことより、どうやったら夫が家事、育児をもっとやるようになるの? 自分達の家事、育児はもう少し楽にできないの? という話題が一番盛り上がります。そんなわけで、今回は、パートナーとの家事・育児に関する交渉を一緒に考えていきましょう。

家事代行サービスを導入したい妻の交渉例

 さて、今までのトレーニングで、人間は感情の動物、ゆえに交渉は理論より感情が大事、とご説明しました。ここで質問です。あなたのパートナーがあなたに満たされたい欲求は何だと思いますか?

 安心? 愛情? 尊敬? どれも正解です! 簡単過ぎましたかね。

 では次の質問です。今から過去24時間を振り返って、皆さんはパートナーの欲求を満たすコミュニケーションを取りましたか? …こう聞くと大抵皆さん、シーンとしちゃうんですよね(苦笑)。

 交渉はギブアンドテイクです。あなたがパートナーにお願いしたいことがあれば、先に、相手の感情、要求を満たすことが大事です。逆に言えば、パートナーの欲求を常に満たしていれば、あなたの交渉はとてもスムーズにいくはずです。ぜひ、交渉する前に念頭に置いてくださいね。

 ここで、先日私の講座を受けたAさんとAさんの夫との交渉をご紹介します。Aさんは、復職に向けて家事代行サービスを導入したく思い、夫に交渉をした結果、無事成功しました。Aさんと夫とのやり取りはこんな感じだったそうです。

Aさん 「復職に向けて家事代行サービスを使いたいんだけど、どう?」

 「え? お金もったいなくない? 今まで通りでよくない?」

Aさん 「今まで通りでできればいいんだけど、子どもがいるとそうもいかないよ」

 「でも、知らない人を家に上げるのは嫌だな」

Aさん 「そうね、あなたも残業なしで帰れるなら頼まなくてもできるけど、それは難しいでしょ?」

 「貴重品とか取られたら嫌だし、寝室入られるの嫌じゃない? 知らない間に家の中見られるのも嫌だな」

Aさん 「なら、小型の金庫を買いましょう。そして寝室はやってもらわず、どちらかが家に居るときに限定する。そうだ、土曜日にあなたがジムに行く時間に来てもらうのだったらどう?」

 「うーん…」

Aさん 「じゃあ、復帰後1カ月は大変だから1カ月だけそれでやってみていい? それでも嫌なら別の方法考える、ってのは? 先輩の話を聞くと復帰後相当大変そうだから、すっごい不安なのよね」

 「うーん、じゃあ1カ月だけね」

Aさん 「あー、よかった、そう言ってくれて。復帰するのに不安だったんだ。ありがとうね」