母子で仲良くDVD鑑賞

 この原稿を書いている2月下旬、うららかな日差しが差し込む日曜日の正午前。ヨメが何をしているかといえば、DVDの鑑賞である。何のDVDかといえば、ウルトラマンゼロのDVDである。

 それを、母子が並んで仲良く鑑賞している。

 スタンプラリーをやり始めると、最初はあれほどイヤそうだったヨメがどんどんと積極的になっていった。そして「メトロン星人は池袋でしょ、あ、ツインテールにゼットンにバルタン星人。新橋近くに人気怪獣揃ってるのね」といった具合に、どんどんと怪獣の名前を覚えていった。

 おいおい。

 「どれも一緒にしか見えないのに、なんでそんなにフィギュアとか買ってくんのよ!」とか嫌悪感を露にしてた人間はどこ行った?

 昨年の夏、虎とわたしが近所のダイエーでセブンやジャック、レッドキングとかゼットンを買いこんで悦に入り始めた当初、彼女は間違いなく「まったくこいつらときたらまったくもって理解不能」的な目線を向けてきていた。翻って16年2月下旬のヨメはといえば、同じくスタンプラリーをやってるママ友と「(滅多に手に入らない)ピグモンのフィギュアが徳島のヤマダ電機に一つあるって!」などとLINEでやりとりをするまでになっている。

 揚げ句──。

 「やっぱレオ様ってかっこいいわ~。声も素敵だし」

 たった今、リビングからそんな独り言が聞こえてきた。ウルトラの世界にまったく興味のない方のために注釈しておくと、レオとはレオナルド・ディ・カプリオでは断じてなく、昭和49年から1年間放映されたウルトラマンレオのことである。わたしはまったく知らなかったが、平成ウルトラマンの世界ではウルトラマンゼロの師匠として重要な役割を果たしているそうなのである。

 にしても、レオ“様”ってどうよ。

 病膏肓に入る、というのはこういうことかと改めて思う。