JRのウルトラマンスタンプラリーに家族総出で参加することに

 1月下旬のある日、大阪からの出張を終え、品川駅に着いた時のことだった。構内に張られていた一枚のポスターが目に飛び込んできた。

 『JR東日本 帰ってきたぞ! 我らのウルトラマンスタンプラリー』

 織田信長ならもう死んじゃってる年齢に達したわたしだが、はや半世紀になってしまった我が人生において、スタンプラリーなるものをやったことは一度もない。というか、興味をもったこと自体がない。なのに、JALの機内でフィギュア購入を決断した時と同じく、間髪入れずにラリーへの参加を決めていた。

 それも、家族全員で。

 「明日からこれ、やるから」

 帰宅してそう宣言すると、予想通り、ヨメは渋った。だが、持ち帰ったスタンプ帳の表紙には、6人の昭和ウルトラマンの雄姿が印刷されている。これまた予想通り、虎が食いついた。

 「やるーっ!」

 わたしには強いヨメも、息子には弱い。お坊っちゃまがやると宣言した時点で、お母様に選択の余地はなくなった。かくして翌日から、一都二県、JR東日本の65駅を回るスタンプラリーが始まった。

 ネットで調べてみると、ホンマもんの鉄ちゃんの中には全65駅を一日でクリアしてしまった強者もいるらしい。もちろん、こちらはそんなわけにはいかない。3歳児の歩行能力は、巡行速度、航続距離ともにたかがしれており、なおかつ、2時間に1回はおにいさんパンツにお漏らしをしないよう、トイレにも連れて行く必要がある。いきなり結論から言ってしまうと、全駅をクリアするのには延べで8日間かかった。

 やったのは週末ごとだったので、つまりは4週間である。たかが一月、されど一月。この一カ月で、我が家の様相は一変した。

 ヨメが変わったのである。