きっかけはJALの機内販売。「コイツはゲットしなければ」

 振り返ってみるに、きっかけは昨年の春、JALの機内販売だったような気がする。

 海外出張ならばいざ知らず、通常、国内線の機内販売で何かを買ったりしたことはほとんどない。にもかかわらず、その時は目にしたと同時に「すいません!」と手をあげてしまっていた。

 身長およそ30センチほど。本来の銀と赤ではなく、JAL色の白と赤にカラーリングされた、ウルトラマンのちょっと大きめフィギュアだった。

 お値段を聞いてみると、約1万円だという。高い。たかがフィギュアごときに行きつけの居酒屋2回か3回分もの代金を支払っていいものなのか……などとはまったく思わなかった。

 「肩のあたりのシワとか、徹底的にリアルに再現した商品でございます。お客様からも大変ご好評をいただいておりまして、当機ではこれが最後の一つになります」

 なんてキャビンアテンダントのセールストークに乗せられたわけでもない。どういうわけだか、カートに乗せられて通路を運ばれていくのを見た瞬間、「コイツはゲットしなければ。虎へのお土産に」と思ってしまったのだ。

 なぜそんなことを考えたのか。今となっては我ながら理解不能なのだが、ただ、突然のひらめきによって我が家へとやってきた高価なフィギュアを、虎(息子・3歳)は大いに気に入った。フィギュアなんて見たこともない、それどころか、ウルトラマンなど見たことも聞いたこともなかったのに、猛烈に気に入ってしまった。

 結果、妖怪ウォッチへの興味は消滅した。トミカへの興味も激減した。ディスカバリーチャンネルやナショジオ・チャンネルでやっている海外の自動車番組に対する興味も消滅……はしなかったものの、間違いなく半減はした。爆発的な勢いで発展を続ける3歳児の好奇心と知識欲は、その大半が昭和のウルトラマンとそこに登場する怪獣に向けられることとなった。