今の30代、40代女性は、迷いの多い世代

 資生堂 コスメティクスブランド事業本部 マーケティング部エリクシール室のブランドマネージャー・北原規稚子さんに今の30代・40代について話を聞きました。

――動画制作のそもそものきっかけは何だったのでしょう?

 誕生から30年以上、「エリクシール」は大人の女性に向けたエイジングケアブランドとして愛されてきました。中心となるターゲットは、30代、40代女性。“自分のためのブランド”と、より身近に感じてもらいたい想いがあります。ムービーならじっくりと、その世代のリアルを追いながら、ブランドとして訴えたいメッセージを伝えられると考えました。

――今の30代、40代のリアルな女性像は「ワーキングマザー」に代表されるとお考えですか?

 ワーキングマザーでも、そうでなくても今の30代、40代女性は、迷いの多い世代ですよね。この世代の女性の多くは「人生の選択をしてきた」という感覚が、多かれ少なかれあると思います。仕事、結婚、出産などのライフイベントをきっかけとしていろんな人生の選択を経てそれぞれの今があります。

 結婚し、子どもを産み育てるのが一般的と言われた時代なら、うまくいかなくても「みんなそうだから」と思えたかもしれません。でもこの世代は、選択肢が多くあります。女性であっても、あれもこれもやるのが素晴らしいと後押しされる世間の風潮もあります。でも、そんな完璧な人はいないですよね。

 一方で、道を何通りも作っていけるからこそ、たまに迷ってしまうこともあると思うのです。今じゃない人生も選択できたはずなのに、選んだはずなのに、現状に満足できず嘆いたり、この道でよかったのかなと不安になったり。誰のせいでもないことを本人が一番理解しているだけに、自分を責めて溺れそうになってしまう。

 30代、40代は、そんなままならなさを共通して抱いていると思っています。

肌を通して、いい日も悪い日もサポートする

――エリクシールが動画を通じて伝えたいメッセージとはなんでしょうか?

 エリクシールは、「いつも笑顔で幸せであれ」とのメッセージを発信したいわけではありません。迷いの多い女性たちの日常は、当然、「良い日」も「悪い日」もあります。いくら女性が活躍するための制度が整っても、自分が満足する理想のバランスで毎日を送れている人なんてほとんどいないでしょう。そんな一喜一憂する日々の中で、肌がキレイなら、その肌を通してなんとかやっていけそうと前向きになれたり、自分に自信を持つことができると思うのです。

 ストーリーでは、理想と現実という対照的な日常と思いきや、2つの日常が現実の2日間のことで、実はつながっていたのだと分かります。どんな日であってもエリクシールがサポートしていることをメッセージとして強調しました。いい日も悪い日もつながっていて、どっちも素晴らしい。そんな毎日を肌を通してエリクシールが支えています、と。女性の肌は、バロメーターです。肌は時には残酷に、日々のストレスや疲れ、悩みなどを映し出してしまいます。洋服は取り換えがききますが、肌は着替えられません。

 だからこそ、毎日行うスキンケアを通してエイジングを感じさせない肌になれれば、「またがんばろう!」とか「私、まだやれそう!」と、後押ししてくれるのではないでしょうか。エリクシールはそんな女性の肌を支えたいと思っています。