医療費が10万円以下でも申告できる

4.「医療費が10万円以下だから医療費控除は無理だわ」

 確かに、医療費控除は原則10万円を超える必要がありますが、所得が少ない年は、10万円以下でも控除を受けることができる可能性があります。

 それが、「総所得金額が200万円未満の場合は総所得金額の5%とする」というルールです(総所得200万円未満とは、給与年収約311万円未満の人が該当します)。

 例えば、妻のパート収入が年間180万円の場合、給与所得は108万円です。つまり、108万円×5%の5万4千円を超える医療費があると、医療費控除が申告できるのです。

 夫の所得が高い場合は、パートの妻の年収で一家全員の医療費控除を受けることができないか、検討してみましょう。

5.「医療費控除の金額が税金から差し引けるのよね」

 残念ながら、そうではありません。医療費控除の金額は、税金から直接差し引くのではなく、税金をかけるモトとなる課税所得から差し引きます。課税所得とは源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を差し引いた金額です。

 そのため、医療費控除の確定申告により実際に安くなる税金は、課税所得の税率によって異なるのです。

 所得税が安くなる目安としては、医療費控除が20万円、課税所得が「195万円~330万円以下」に該当するなら、20万円×10%となり、2万円の還付が受けられることになります。

課税所得……………………………………税率(※)
~195万円以下…………………………… 5%
195万円超~330万円以下………………10%
330万円超~695万円以下………………20%
695万円超~900万円以下………………23%
900万円超~1800万円以下………………33%
1800万円超~4000万円以下……………40%
4000万円超…………………………………45%

※税率のみ抜粋

 忙しいDUAL読者だからこそ、医療費控除を実行したときの効果と労力を考えて、確定申告するかどうかを選択してくださいね。

 なお、保育料は住民税にて決まります。住民税にも医療費控除は関係しますから、詳しくは過去記事をご覧ください。

 さて、今回の「医療費控除の誤解と思い込み」……いかがでしたか? しっかり理解したうえで医療費控除の申告をしてくださいね。もちろん、健康で、医療費が少ないのが一番です。