自己負担で注射した予防接種費用は控除の対象?

1.「予防接種費用が高かったけど、医療費控除があって助かった!」

 「自己負担で接種した子どものB型肝炎ワクチンにインフルエンザワクチン……結構高かったけど、医療費控除できるよね」。こんなふうに思い込んで、予防接種でかかった費用を確定申告しようとしていませんか?

 実は、予防接種は医療費控除の対象外です。なぜなら、予防接種の目的は「予防」であり、「医療」でないからです。

 家計相談でこのことをお伝えすると、「え~! OKかと思っていました!」とおっしゃる方が多いのですが、アウトですから気を付けてくださいね。

2.「自費診療のインプラント代が医療費控除の対象ならよかったのに」

 インプラントやレーシック、そして、不妊治療。いずれも最近、増加傾向にある自費診療の治療です。でも実は、これらはいずれも医療費控除の対象となっています。

 このように、健康保険が利用できなくても、医療費控除の対象になるものがありますから、知らずに申告しなかった!と、ならないように気を付けてくださいね。

 なお、「知らなかった!」という方は、原則5年前までさかのぼれます。まずは、お住まいの地域を管轄する税務署に電話で相談してみてください。

3.「治療を受けたのは去年。でも、給付金が入ってくるのは今年だから、去年の分については医療費控除を受けれるはず!」

 例えば、不妊治療を受けたのは2015年だけど、自治体からの助成金が入ってくるのは2016年。あるいは、入院して医療費がかかったのは2015年だけど、保険会社からの給付金が入ってくるのは2016年。こんなふうに、支払った医療費と受け取る給付金や助成金のタイミングが、常に同じ年とは限りません。

 こんなとき、通常は「実際に支払った医療費-受け取る予定の給付金や助成金-10万円」の金額が医療費控除の額となります。

 もしも不妊治療で使った金額が60万円で、自治体から受け取る予定の助成金が30万円なら、差額の30万円から10万円を差し引いた金額、つまり20万円が医療費控除の額です。つまり、見込み額で申請するということですね。

 でも、もしも本当にもらった金額が予定よりも少なかったら? なんだか、ソンした気がしますよね(笑)。ご安心ください。そんな場合は、後から税務署に「更生の請求」という申請をすると、納め過ぎた税金が安くなるように調整してくれます。

 その反対に、思ったよりもらったお金が多かった!というような場合は、「修正申告」をして、追加で納税することになります。