夫を尊敬し、信じている。働くママとして意識しているのは“スイッチ”

―― 今回の役を通して、自分が成長したと感じるシーンはありましたか?

石川 ありました。最初は、アニメの表情と声を合わせることができなかったのですが、物語でアーロがだんだん強くなっていくうちに、僕も少しずつアニメの表情と声を合わせることができるようになって……。

 アーロとスポットが家族について語り合うシーンがどうしてもうまくできなくて、「僕がもう少し気持ちを入れられないと観ている側には思いが伝わらない」って思いました。何度も何度もやって、やっとできたとき、少しは気持ちを声で伝えられるようになったのかなと思いました。

安田 伝わったよ。とてもいいシーンだった。私は石川くんが音を入れた後に入れさせていただいたので、実際に会うのは今日が初めてなんです。音を初めて聴いたときに「これ誰だろう、すごい!」って言ってしまったほど、石川くんの声とともにアーロの気持ちが入ってきました。

石川 ありがとうございます。自分でやってみて、できなかったことがあったら、できるように練習する。諦めずに、繰り返す。それが大事なのかなって思います。

安田 かーっこいい。そうだそうだ!

安田さんに楽しく話し掛けてもらって、石川くんもリラックス
安田さんに楽しく話し掛けてもらって、石川くんもリラックス

―― 今作では、アーロとパパの関係も印象的でした。父と子の関係について、安田さんが日ごろからお感じになっていること、妻として意識していることについてお聞かせください。

安田 一般的に言って、父親って時々、子どもを言葉で威圧してしまうこともありますよね。それは「社会に出たときに対応できるように」とか、「色んな人に対応できるような耐性をつけるように」という意味ではいいこともあると思います。この映画でのお父さんは、母性的な包容力を持っている、相当デキるお父さんだなと思いました。

 私自身について言えば、結婚生活も長くなって、日々意識していることってそんなにないのですが(笑)、根底として夫のことはすごい人だと尊敬していますし、信じています。その思いが流れている中で、一緒に生活をしています。私のそんな思いが子ども達にも伝わっているといいなと思います。

―― 「恐れずに一歩踏み出せ」というパパの台詞も印象的でしたが、ご自宅でもそんな感じですか?

安田 そうですね。わが家は両親が芸能人ということもあってか、どうも子ども達がやや周りを気にしがちなんです。「自分はこうしたい」と思う以前に、まずは様子を見てしまって、周りから一歩出遅れることもある……。親としては申し訳ないなと思っていました。最近は「心配しないでいい。失敗してもいい。とりあえず、やればいいんだよ。やってみた後から色々分かったり、結果がついてくるんだからね」って言っています。だから、わが家の子育ての実態はというと、この映画と近いかもしれませんね。何事もやらないと分からないから。樹くんはどうだろう?

石川 僕は、何でもがんがんやっちゃうほうです(笑)。

―― 安田さんが働くママとして日ごろから心がけていらっしゃることはありますか?

安田 私の仕事は期間が決まっていて、フルタイムで働いていらっしゃる方と比べればまだ時間の調整がしやすいほうだと思います。月曜から金曜まで朝から夕方まで働かれているお母さんってすごいパワフルだと思うんですよね。

 私が働くママとして意識していることは心の中の“スイッチ”です。仕事から帰ってきたら“ママスイッチ”、旦那さんが帰って来たら“夫婦スイッチ”、仕事のモードに入るときは“仕事スイッチ”……という感じで、スイッチをタイミングよく切り替える。それが上手にできると、自分の気持ちも切り替えられるし、忙しい中でも精神的にリラックスできるんです。これは私自身にとっても、旦那さんや子どもにとってもいいことなのだろうなと思います。生活が偏らなくて、それぞれエンジョイできるんじゃないかなと。

 家に帰ってきて「仕事してきたからママは疲れてるの」とか、現場で「私はママだから色々大変なの」とか言っていても、自分はもちろん、傍から見ても面白くもおかしくもないじゃないですか。どちらも自分がやりたくてやっているんですから。そこを強く持って、スイッチを切り替えるようにしています。

怖いもの知らずで勇敢な人間の少年スポットにも、アーロと同じく、悲しい思い出があった
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