子育てから仕事から夫婦関係から社会問題まで、働く母とはなんと多くの顔を持って生きていることだろう。最愛の息子を育てながら小説家として活躍する川上未映子さんが、素敵も嘆きもぜんぶ詰め込んだ日々を全16回にわたりDUAL読者にお届けします。第12回のテーマは、「第二子」についてです。

 果たして合理的な育児というものは、存在するのだろうかどうなのだろうか……そもそも育児における合理性っていったいなにを指すのだろうと、今日もフレシネを飲んで考えた。

 このあいだ、仕事で某男性政治家と同席したときのこと。育児や女性にまつわるあれこれについて、新聞などに寄稿している拙文を読んでくださっているみたい。そして「でも、まあ、わたしもたくさん子どもを育てたからねえ」。そうとは仰らないけれど、もしかしたら「何をひとり育てているだけでおおげさな」と、思われたのかもしれない。わたしとしては、政治家の男性が子育てに全面的に参加するなんてなかなか想像できることではないので、思わず「育てられたのは、奥様では?」と突っ込んでしまいそうになったけれど、それはまあいい。じっさいに見たわけでもなんでもないので自粛した。

「子育ては2人目からが本番」らしい

 で、その場にいた数人であれこれ話すうちに、やはり話題は子育てについて、に。その場にいたのはみんな男性でお子さんがいらっしゃり、なかでも一人っ子を育てているのはわたしだけだった。で、みんなが口を揃えて言うのは「子育ては、2人目からが本番」というようなこと。話を聞くと、やっぱりひとりでは子育ての何たるか、みたいなことってうまくわからないらしいのだ。2人目から子育てが、真の意味で実のあるものになる、というようなことらしい。