大切なのは、犯罪者と出会う確率を下げること

──そんな巧妙な手段で近づいてくる犯罪者に対抗するには、どうすればいいんでしょうか。

 やはり、景色から危険を読み取る習慣を身につけることです。例えば歩道橋を渡るときに、そこは犯罪者の大好きな場所だと気づくだけで、犯罪被害に遭う確率は大幅に下がります。ほかに安全な道があれば、歩道橋を渡ることをやめるでしょうし、たとえ歩道橋を渡るにしても、警戒心が生まれます。そうすると、あまり怪しく見えない人に声をかけられても、「この場所は安全な場所ではないから、100%信じることはやめておこう」と思うため、あとをついて行かないはずです。

 このように、景色解読力を身につけていれば、犯罪被害を未然に防ぐことができます。そのために、ぜひ親子で次のようなことをやってみてください。

 歩道橋は、「入りやすく」「見えにくい」場所です。だから、歩道橋は、交通の面では安全でも、防犯の面では安全ではないんです。そのことを、お子さん自身にきちんと認識させておきましょう。

 お子さんを犯罪の被害者にしないために親ができるのは、犯罪被害に遭う確率を少しでも下げていくこと。そのために、確認すべきポイントは、「入りやすいか」「見えにくいか」という2つだけです。この2つのポイントを覚えておけば、景色からリスクを読み取る能力を身につけることができます。普段の生活のなかでも、折に触れ、この2つのポイントについて考える機会を持つことは、お子さんの防犯力を高める上でとてもよいことだと思います。

(解説/小宮信夫 取材・文/井上真花 イラスト/三井俊之)

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